韓国サッカー協会(KFA)のチョン・モンギュ会長が、多くの批判を集めるなかでも“4選挑戦”を本格化する見通しだ。
チョン会長は5月16日、タイ・バンコクで行われたアジアサッカー連盟(AFC)総会でAFC執行委員に選出された。
AFC執行委員会はAFCの最高意思決定機関で、AFC会長及び5人の副会長、そして各地域連盟に割り当てられた枠によって選出された執行委員による計30人で構成される。
東アジアには6枚の執行委員枠が割り当てられており、今回の総会を通じて空白となっていた1枠にチョン会長が入った。
チョン会長は今回の選挙に単独出馬し、AFC定款に従い無投票でAFC執行委員に選出された。
韓国サッカー界では、チョン会長のAFC執行委員選出を「4選のための布石」と見ている。
AFC執行委員の任期は2027年までで、あと3年も残されている。
一方、チョン会長のKFAにおける任期は2025年1月に終了する。
KFA協会長職を退いたにもかかわらず、AFC執行委員を務める構図は不自然だ。そのため、チョン会長がKFA協会長職の4選に挑戦することは“当然”だ見られている。
チョン会長はすでに3期目の任期を送っている。2013年に初めて当選した後、2017年に再選し、2021年には3選を果たした。
KFAの定款によると、協会長の任期は4年であり、1回に限り再任することができる。
ただ、役員は大韓体育会スポーツ公正委員会の審議を経て、再任回数制限の例外を認められることができる。
チョン会長はすでに2021年に同手続きを行い、3選に成功した。今回も4選するためには、再び大韓体育会スポーツ公正委員会の審議を受けなければならない。
今年2月、大韓体育会長3選への意欲を示したイ・ギフン会長は、「我々の公正委員会が内外の専門家で構成されているため、上手く判断するだろう」と原論的な立場を示した経緯がある。
しかし、チョン会長がAFC執行委員に選出されたことで、大韓体育会としても彼の4選挑戦に“待った”をかけることが難しくなった。
AFCという巨大組織の執行委員である事実が、チョン会長にとっては自身の権力を維持するための“武器”というわけだ。
問題は、チョン会長に対する韓国国内の世論が過去最悪だという事実だ。
チョン会長が3回目の任期を過ごす間、韓国サッカー界は類例のない“暗黒期”に突入した。
昨年3月、八百長犯など不正行為者100人に対する“奇襲的”な赦免の試みが始まりだった。当時、チョン会長は世論の同意なく赦免を試みた挙句、世論の激しい抵抗に直面して撤回、謝罪を余儀なくされた。
そんななか、チョン会長は監督としてのキャリアが途絶えたも同然だったユルゲン・クリンスマン氏を韓国代表監督に選任し、再び猛非難を受けた。
周囲の懸念通り、クリンスマン氏は在任期間で自らの無能さ、無責任さを見せつけ、最後はアジアカップ準決勝敗退で解任となった。
いずれにしても、チョン会長の独断的で思慮のない選択が、韓国サッカーの“黄金世代”を浪費したわけだ。
弱り目に祟り目で、チョン会長は今年3月、U-23韓国代表監督だったファン・ソンホン氏にA代表の暫定監督を任せた結果、最近まで行われたU-23アジアカップ(パリ五輪アジア最終予選)で準々決勝敗退に終わり、40年ぶりに五輪出場を逃すという惨事を招いた。
チョン会長が現場に深く関与すると、ことごとく最悪の結果が生まれるというパターンが繰り返されている。韓国サッカー界のトップを任せるにはあまりに“無能”だという結論を下すしかない。
“理由なき反対”もない。
実際、韓国アーチェリー協会では2005年から現代自動車グループのチョン・ウィソン会長が協会長職を担っているが、彼の再選に異議を唱える者は誰もいない。
アーチェリー協会はチョン・ウィソン会長体制で飛躍的な発展を遂げた。彼は現在、5期目の任期を送っている。会長として上手く自身の役目を果たせば、20年近く経過しても周囲の指示と拍手を受けながら、再任に成功することができる。
もっとも、韓国サッカー界内部でも大多数の関係者がチョン会長の再任に反対しているが、当の本人は歩みを止めるつもりがなさそうだ。その事実が、すでに底に落ち切った韓国サッカーをさらに憂鬱にさせる。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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