日本では最近、BTSが出演するSamsung製のスマートフォン「Galaxy Z Flip3 5G」や、キシリトールガムのCMが地上波でも流れて話題となっている。
2021年を代表する楽曲『Butter』がタイアップ起用されている両CMだが、前者は地下鉄でのパフォーマンスとMVをオマージュした内容で、折りたたみスマートフォンという革新的な製品をアピールするスタイリッシュな仕上がりに。後者はアメリカン・コメディを軸に、BTSのユーモアあふれる姿や白く輝く歯を際立たせたアットホームな映像となっている。
このように、楽曲やパフォーマンスのみならず、広告塔としても絶大な影響力を発揮し、“広告王”としても名高いBTS。2021年は1本当たり50億ウォン(約5億円)の広告料で計11社の広告に出演し、マクドナルドの収益料まで含めると計650億ウォン(約65億円)の広告料を稼いだとされている。
今回は、そんな彼らが出演してきたCMの数々を振り返ってみた。
まず、彼らの正統派なカッコよさが際立っているのは、韓国の生活家電メーカー「COWAY」だ。空気清浄機や浄水器など、彼らが持つ清純さで数々の製品を宣伝しているBTSだが、特に必見なのがマットレスのCMだ。
映像では純白の衣装に身を包んだメンバーがマットレス製品の紹介をしているのだが、見ると120%添い寝したくなると話題に。彼氏感あふれるメンバーの姿に、思わず悶絶してしまうと評判だった。
反面、韓国の自動車メーカー「Hyundai」では、自動車の持つ高級感を表現。COWAYとは正反対のブラックスーツで登場する映像は、Hyundaiの車から降りたメンバーがレッドカーペットを歩きながら、ハリウッドスターのように振舞っている。まさに世界的スターとなったBTSに相応しいCMと言える。
そしてBTSのユニークな姿で話題となったのは、ロッテの清涼飲料水「七星(チルソン)サイダー」のCM。これは2020年に“70”周年を迎えたチルソンサイダーと、BTSの“7”人、BTSデビュー“7”周年という、“7繋がり”の記念コラボとして実現したものだ。
70年ぶりの新商品として発売されたチルソンサイダーピーチ味、青みかん味のCMでは、BTSの愉快な姿が収められている。真顔で首を横に振りながら踊るJINや、電気で痺れているかのように踊るV、普段おじいちゃんと呼ばれるSUGAの活発なダンスなど、メンバーの無邪気な姿は中毒性が高いと好評だった。
ファッションリーダーとしても注目を集めるBTSは現在、「FILA」のアンバサダーとして活動しているが、それ以前は「PUMA」の広告塔として活躍していた。2018年8月に発表されたコラボスニーカーは日本のPUMAストアで限定発売され、当時大きな話題に。
BTSがPUMAと契約していた期間は2015年から4年間。当時のCM映像には成熟した現在の姿とは異なり、まだ幼さが残る初々しい少年のような姿が収められている。
「私が輝く瞬間」をテーマにしたそのCM映像は、踊るJIMINやピアノを弾くSUGA、アカペラで歌うJUNG KOOKなど、個人の特徴や特技に焦点を当てているのだが、Vが自転車に乗って読書中のJIMINの周囲を走る姿や、裏表・前後が逆の状態で服を着てギターを弾くJINといった少々シュールな姿でクスっと笑えるものもあるようだ。
しかし、BTSの大きな影響力が逆の意味で発揮されてしまったことも。それはロッテ七星飲料のビール「KLOUD」のCMに出演した際の出来事だ。2021年4月にCM映像が公開されると韓国では、ビールの製造会社や広告会社、HYBEに苦情が殺到した。
その苦情とは、これまでBTSは特定のメンバー1人で広告を出したことが無いのに、何故Vだけを起用して特別扱いするのかという内容。このような暴論はCMを撮影した監督にまで及び、インスタグラムにはアンチコメントが殺到し、監督は撮影時のVの写真を削除するにまで至った。
それでも当然、ポジティブな効果が大きい。今年、世界中を熱狂の渦に巻き込んだ「マクドナルド」との特大コラボだ。2021年5月から計50カ国で販売されたスペシャルセット「BTS ミール」は、同年のマクドナルド第2四半期の売上を、コロナ前の2019年同時期よりも6.9%も増加させたという。
惜しくも日本では展開されなかったこのキャンペーンだが、CMは7人が「BTSミール」を紹介するという内容に。普段、我々が慣れ親しむマクドナルドとは思えない映像になっている。
SF映画のような近未来的な店内で、7人が次々とBTSミールを紹介。ドリンク、フライドポテト、チキンマックナゲットという誰もが食べたことのある定番メニューだが、ARMYにとってはミシュラン3つ星の大ご馳走のように見えたのではないだろうか。
ステージ上で見せる姿とは一味違う魅力を発見させてくれるBTSのCM。今後もBTSの魅力が存分に発揮されたユニークな化学反応にも注目したい。
(文=高 潤哲)
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