BTSからジャスティン・ビーバーまで擁するHYBE、世界最先端を走るエンタメ企業の歴史と中身とは

2021年12月03日 話題 #BTS #特集

今や、日本でもその名を聞かない日が無いほどの存在となったBTS(防弾少年団)。米ビルボードの常連となり、今年こそグラミー賞が期待できるとの声があちこちで上がるほどだ。

そんなBTSが所属するHYBEは、韓国の3大芸能事務所と称されるYGエンターテインメント(BIGBANG、BLACKPINKなど)、JYPエンターテインメント(TWICE、NiziUなど)、SMエンターテインメント(少女時代、BoAなど)の年間売上額を足しても、それを上回る額を稼ぎ出すほどにまで成長したのだが、その航海は常に順風満帆というわけではなかった。

HYBEが産声を上げたのは16年前の2005年、現在のパン・シヒョクCEO(最高経営責任者)がJYPから独立することから始まる。その時に設立したのがHYBEの前身「Big Hitエンターテインメント」だ。

とはいえ、無名の芸能事務所からスターを産み出すことは難しく、数年間は低調な活動が続いた。

しかし、そんな無名会社の最大のターニングポイントとなったのが、RMの加入だった。パン・シヒョクCEOはRMのラップスキルを見て、絶対にデビューさせなくてはと思ったという。その後、続々とメンバーが加入し、2013年6月13日に7人組男性ヒップホップグループ防弾少年団が結成されることとなった。後のワールドスター誕生の瞬間である。

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2014年8月28日放送のMnet『M COUNTDOWN』で『Danger』をパフォーマンスするBTS

BTSは韓国国内で着実にファンを増やし、影響力は日本へと拡大。その後、SNSなどの地道なプロモーション活動や海外アーティストとのコラボでアメリカでも認知され始め、コロナ禍にリリースした『Dynamite』で文字通り人気が大爆発。

すると、Big Hit エンターテインメントは2021年3月に社名をHYBEへと変え、本格的な世界制覇に乗り出した。韓国の新社屋も首都ソウルの一等地・龍山(ヨンサン)区へと移し、名実ともに韓国を代表するエンタメ企業として君臨することになった。

HYBEの社名変更は、組織構造と働く文化、企業の方向性まで包括する概念という認識で行われたもので、当時、創設者のパン・シヒョクCEOは「既存の共感よりも、より一層広い意味でエンターテインメントの領域を理解し、多様な事業を展開している。現在の事業を統合し、これを連結・拡張できる構造の象徴として新たな社名の必要性を感じた」と、経緯について語っていた。

(写真提供=Big Hitエンターテインメント)HYBE社屋

現在、HYBEはアメリカと日本にも法人を持ち、「HYBE AMERICA」にはジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデといったトップアーティストが所属する「イタカ・ホールディングス」を傘下に収めている。そして「HYBE JAPAN」は2022年に日本から世界を目指すというスローガンを掲げた新オーディションプロジェクトを予告しており、さらなる飛躍に期待がかかっている。

7色の魅力を放つレーベル群

止まらない進化を続けているHYBEだが、規模が大きくになるにつれて少々理解しづらい構造となった。

現在のHYBEは、部門ごとに3つに大別できる。それは「HYBE PLATFORMS」「HYBE SOLUTIONS」「HYBE LABELS」だ。

まず「HYBE PLATFORMS」には、ファンコミュニティプラットフォーム「Weverse」を運営する「Weverse Company」があり、所属アーティストを支えてくれるファンとの関係を強化している。また「HYBE SOLUTIONS」には、「HYBE 360」「HYBE IPX」「HYBE EDU」の3社が属し、コンサートや映像コンテンツ、IP(知的財産権)などを担当している。

そして最もよく目にする存在が、音楽関連事業を担っている「HYBE LABELS」だろう。

ご存じの通りBTSや数々のアーティストはここに籍を置いているのだが、HYBEには7つの異なる理念を掲げたレーベルが現存している。

(写真提供=Big Hitエンターテインメント)

まずBTSが所属している「BIGHIT MUSIC」だ。変更前の社名を踏襲しているこのレーベルは、K-POP、ひいては世界の音楽シーンをリードする存在として位置づけられており、BTSのほかには、TOMORROW X TOGETHR(TXT)が所属している。

続くのが「BELIFT LAB」。ここはHYBEと大手エンタメ企業「CJ ENM」が共同設立したレーベルで、オーディション番組『I-LAND』を通じて誕生したENHYPENが所属。理念としては、世界をターゲットとしたアイドルグループの育成を通じて、K-POPをメインストリームへと押し上げることを掲げている。2022年には女性版『I-LAND』も予告されており、かつてのBTSのように、これからのK-POPをリードする新世代グループが生み出される見通しだ。

買収によってHYBEファミリーとなったレーベルもある。日本でも人気のSEVENTEEN、NU‘ESTが所属しているのは「PLEDISエンターテインメント」で、2020年にHYBE傘下に加入。才能ある人材をスターへと磨き上げるという哲学を持っている。

(写真=BIGHIT MUSIC、BELIFT LAB)TOMORROW X TOGTHER(上)とENHYPEN(下)

「KOZエンターテインメント」も買収によって加わったレーベルなのだが、ほかとは少々毛色が異なる。元Block BのZICOが2019年に独立とともに設立したレーベルで、現在はZICO本人とソロ歌手Dvwnの2人が所属。ほかとは異なり、ヒップホップ色の強い個性的なレーベルとなっている。

また最も新しいレーベルは、11月12日にできたばかりの「ADOR」だ。HYBEのミン・ヒジンCBO(最高ブランド責任者)を取締役とし、2022年に新ガールズグループをデビューさせる予定となっている。まだ誕生したばかりなのでどんなカラーになるかは不明だが、ミン・ヒジンCBOはかつてSMでSHINeeやEXO、少女時代などのコンセプトを手がけ、業界随一のディレクターとして知られている人物のため、大きな期待がかかっている。

そして今最も注目されているのは、2019年に買収した「SOURCEミュージック」だ。今年解散した6人組女性グループGFRIENDが所属していたレーベルとして知られている。SOURCEのソ・ソンジン代表は、パン・シヒョクCEOがJYPで働いていた時代に出会った人物で、Big Hit エンタ黎明期以前から交流のあった人物だそうだ。

ここには、一世を風靡しながらも惜しまれつつ活動を終了した日韓合同グループIZ*ONE出身の宮脇咲良も加入すると噂されており、今後の動向に多方面から注目が集まっている。

韓国という枠を飛び越え、世界を魅了し続けるHYBEから今後も目が離せない。

(文=高 潤哲)

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