「このままでは新たな惨事は時間の問題」韓国プロ野球会場の悲惨な死亡事故、問われる“責任の所在”

20代女性観客が悲劇に遭った韓国プロ野球会場の死亡事故で、“責任の所在”をめぐり冷たい視線が向けられている。

【写真】死亡事故が発生したルーバー落下現場

3月29日、NCダイノス対LGツインズの試合が行われたNCの本拠地・昌原(チャンウォン)NCパークでは、重さ約60kgで長さ2.6m、幅40cmのアルミ製ルーバーが落下する事故が発生した。

落下したルーバーによって観客3人が被害に遭った。そのうち、頭部に重傷を負った20代女性A氏が緊急手術を受けるも、31日午前に息を引き取った。

あまりにも突然で信じ難い事故に、韓国プロ野球ファンのみならず多くの人々がショックを受けている。

昌原NCパーク
(写真提供=OSEN)昌原NCパーク内の事故現場。1カ所のみルーバーが外れている

再発防止へ問われる「責任の所在」

事故直後、真っ先に問題視されたのは「責任の所在」だった。

昌原NCパークは2019年に完成されたばかりで、韓国国内ではまだ比較的新しい球場だ。施設の管理権は昌原施設公団、運営権は同球場を本拠地として使用するNCダイノスが持っている。NCダイノスは25年間の運営権を確保するため、前納金含む330億ウォン(日本円=約33億5732万円)を昌原市に納付している。

公式契約では、「大規模な改修」は昌原市が、「小規模な管理」はNCダイノスが担当することになっている。つまり、今回の事故を引き起こした「ルーバー」がどちらの管理範疇に属するかが大きな争点となる。

加えて、韓国プロ野球全体の最終責任を担う韓国野球委員会(KBO)も同事故と無関係ではいられない。

警察は事故直後から業務上過失致死の容疑で捜査を始めた。場合によっては「重大災害処罰法」が適用される可能性もある。

韓国の法律上、1人以上の市民が死亡する事故が発生した場合は「重大市民災害」と規定され、事業者や法人が刑事処罰となり得る。

ルーバー落下の原因については、固定用アンカーの施工不良、または施工上の欠陥が指摘されている。そのほか、突風などの気象変化に備えた定期点検が行われていなかった可能性も指摘されている。

昌原NCパーク
(写真提供=OSEN)昌原NCパーク

事故を受け、NCダイノスは遺族に謝罪。4月1日には精密安全診断を実施することを決め、KBOも来る3日までに全球場の試合中止、全面点検に乗り出した。

しかし、韓国プロ野球ファンや市民の反応は冷ややかだ。頭部に重傷を負った女性はすでにこの世を去ったからだ。

いま最も求められているのは、公共スポーツ施設における「安全の主体」と「責任の所在」を明確にすることだ。

委託運営の構造では「責任の所在」が曖昧になりかねないため、契約書上での責任範囲の明文化、管理マニュアルの整備が求められる。

専門機関による定期的な精密点検も必要だ。特に、構造物の老朽化や気候変化に対応した付着物の点検も強化されなければならない。球場は屋根付きの大型施設であるため、観客が集中するエリア上部の構造物については、一斉点検と補強工事が進められなければならない。

KBO、各球団、そして各地方自治体が再発防止策を速やかに立案・実行しなければ、今回の死は「ただの不運な事故」として記録されるだけだ。それでは韓国球界の本当の“反省”はない。

仮にこのまま各所が「責任の所在」を先送りにするのであれば、新たな惨事が発生するのは時間の問題だ。

「責任の所在」を問う理由は、懲罰が目的ではなく、再発防止のための第一歩であることを肝に銘じなければならない。

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