「(キム・)ダソル兄さんから“キーパーグローブがなければやる。部屋に持っていけ”と言われました(笑)」
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かつて2018~2020年にファジアーノ岡山でプレーしたDFチェ・ジョンウォン(26、全南ドラゴンズ)は、チームの正守護神に認められた“GKの実力”の持ち主だった。
チェ・ジョンウォンは去る8月8日、ホームの光陽(クァンヤン)サッカー専用球場で行われたKリーグ2(2部)第31節の富川(プチョン)FC 1995戦で全南(チョンナム)ドラゴンズを危機から救った。それも、フィールドプレーヤーではなくキーパーグローブをはめてだ。
状況はこうだ。全南が1-0でリードしていた後半40分、フリーキックから富川に同点ゴールを決められた当時、GKキム・ダソル(33)が負傷によりプレー続行不可能となり、担架で運ばれる事態が起きた。
ただ、全南はすでに交代枠をすべて使い切っていたため、フィールドプレーヤーのうち誰か1人が臨時的にGKを務めなければならなかった。そこでグローブをはめたのが、チェ・ジョンウォンだったわけだ。
試合終了までは残り7分程度だったが、チェ・ジョンウォンは急造GKながらセーブを連発。MFイ・シホン(24)のシュートを正面で防ぐと、終了間際にはDFチョ・ヒョンテク(21)が右隅を狙ったシュートを懸命に伸ばした左足ではじき出した。反射神経から出たスーパーセーブで失点の危機を乗り切り、試合は1-1の引き分けで終了。全南は数的不利ながら貴重な勝ち点1獲得に成功した。
試合から2日後、本紙『スポーツソウル』の電話取材に応じたチェ・ジョンウォンは改めて当時を振り返り、次のように語った。
「自ら(GKの代役を)やると伝えました。背の高い選手がやらなければならないと話し合っていたのですが、長身選手のなかで僕が一番若かったので。実際にはめてみたキーパーグローブはとても重く感じましたよ。とにかく防がなければならないという考えでした。自分でもわからないまま体が反応し、足が先に出ました。元々フィールドプレーヤーなので、手よりも足を使う方が楽だったんだと思います(笑)」
GKとしてプレーした時間は10分程度だったが、そのなかで気づいたこともあった。「ゴールキックを蹴るときにかなりプレッシャーを感じました。GKは簡単ではないポジションでした。自分はセンターバックを本職とするだけに、もっと一生懸命守備をしなければならないと思いました」とチェ・ジョンウォンは話す。
試合後にはキム・ダソルの“認定”をもらったという。「ヒョン(兄さん)が“次の試合で使うキーパーグローブがなければ、部屋に来て持っていけ”と冗談で言われました」とチェ・ジョンウォンは笑いながら明かした。
チェ・ジョンウォンの活躍で危機を乗り越えた全南だが、厳しい戦いは続いている。
全南は去る5月17日の第16節FC安養(アニャン)戦で勝利したのを最後に、14試合連続未勝利と深刻な不振に陥っている。
チームには元東京ヴェルディの日本人MF佐藤優平(31)、元横浜FCのDF韓浩康(ハン・ホガン、28)など実力者がそろうが、27試合消化時点で4勝12分11敗の勝ち点24とし、11チーム中10位に沈む。それだけに、全南には何よりも“勝ち点3”が求められている。
チェ・ジョンウォンは「気が重いのは確かです。勝利という結果でファンの方々に恩返しをしなければなりません。結果はまだよくありませんが、選手たちは少しずつ自信を取り戻しています。パフォーマンスも徐々に良くなっています。今は下位グループにいますが、プロであるだけに最後まで頑張りたいです」と、シーズン終盤を戦う決意を伝えていた。
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