「故障した洗濯機を買ってしまったら…」中古取引犯罪の裏側を暴いた韓国映画『ターゲット』【レビュー】

2023年08月27日 映画 #韓国映画

故障した洗濯機を買っただけなのに…。トラブルに巻き込まれた主人公の運命やいかに。

【画像】映画『ターゲット』の緊張感あふれるポスター&予告

現代人の日常に浸透した“中古取引”による詐欺が、思いもよらぬ形で連続殺人につながる過程を描いた映画『ターゲット』(原題)。

主人公の平凡なOL・スヒョン(演者シン・ヘソン)は中古取引サイトで洗濯機を購入するのだが、出品者から送られてきた洗濯機は故障していた。

激昂したスヒョンは、出品者の投稿すべてに「詐欺師だからお金を送るな」というコメントをつける。しかし、出品者が自身の携帯番号と住所を知っているという事実を看過したまま挑発を止めなかった彼女は、恐ろしい“標的(ターゲット)”になってしまうのだった。

演技力は一定の評価も…

(写真提供=PlusMエンターテイメント)シン・ヘソン as スヒョン

洗濯機中古取引詐欺の裏に隠れていた闇は、スヒョンの日常を完全に崩してしまう。取引後、家には頼んでもいない出前が到着し、タダで物をくれるのかという電話も殺到することに。

果てには、別名“招待男”(寝床に招待された男)までもが自宅に送られる事態にまで発展。真夜中に知らない男性がドアを叩き、家に誰かが入ってきた痕跡も発見される。

実際、毎日多くの人が中古取引で物を交換する今、生活空間と職場が脅かされ、日常は持続的な監視と危険に囲まれた過程が着実に構築され、観客に恐怖をもたらす。

この事件を単なる中古取引詐欺と見ていたチュ刑事(演者キム・ソンギュン)は、出品者宅で遺体を発見したことで事件の本質を見抜く。スヒョンとチュ刑事のやり取り、繊細に描き出される2人の感情の推移は本作の大きな長所の一つだ。

(写真提供=PlusMエンターテイメント)キム・ソンギュン as チュ刑事(右)

そして最も際立っていると言えるのは主演女優シン・ヘソンの演技だ。詐欺に遭ったことで沸く怒り、自身が犯罪の標的になったことを知ったことで得た恐怖と絶望、犯人を捕まえるために主体的に行動する姿を通じて、複雑な感情の動きを多彩に表現している。特に、“招待男”事件のパートで見せる絶望的な演技は観客を圧倒し、強烈な印象として残ること間違いなしだ。

日常化した中古取引の裏側、そしてデジタル社会における不安や危険を、現実感たっぷりに映画いている本作。しかし、いくつかの作為的な要素と、フィナーレの不十分さは全体的が完成度を落としていることは否めない。主人公の最後の抵抗と結末は、観客に大きなカタルシスをもたらすことができなかった。

映画『ターゲット』は8月30日より韓国で公開開始。15歳以上観覧可。

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