サッカー韓国代表監督に対する“解任要求”が、過去に例を見ない勢いで熱を増している。
韓国代表率いるユルゲン・クリンスマン監督は、アジアカップ終了直後から猛非難を浴びている。韓国のサッカー界やスポーツ界はもちろん、社会の各分野で影響力を持つ人々が、クリンスマン監督の解任を要求している。
最大の特徴は、政界関係者までもが積極的に意見を発している点だ。
大邱(テグ)広域市のホン・ジュンピョ市長はSNSを通じて、「居住条件に違反したので、違約金を要求することもできない」とし、「違約金問題はチョン・モンギュ(韓国サッカー協会)会長が責任を負い、この際だからビデオ通話で解任を通知したらどうか」と要求した。
また、「アメリカに行ったついでに、どうか帰って来ないでほしい。監督としての資質も足りないのに、韓国サッカーだけを困らせるな。考えれば考えるほど腹立たしい人物だ」と痛烈に批判した。
そのほか、韓国与党「国民の力」クォン・ソンドン国会議員、ウォン・ヒリョン元国土交通部長官も、クリンスマン監督に対し厳しい批判の声を上げている。
政治家が事情をよく知らないサッカー界についてあれこれと発言するのは良いことではない。文化体育観光委員会所属の国会議員でもないのであれば、あえて言及する理由もない。
ただ、現在の韓国国内は政治家だけが声を上げているわけではない。芸能界でも、スピーカーの役割をするスターが意見を述べている。
ソウル新門路(シンムンロ)のサッカー会館前では、韓国サッカー協会(KFA)の役員会議が行われた2月13日、一部サッカーファンによるクリンスマン監督解任を求める抗議デモが行われた。
それだけ、クリンスマン監督解任騒動がサッカー界やスポーツ界を越え、多くの関心を集めているという意味だ。過去にも代表監督の去就が話題となったことはあるが、これほど波及したことはなかった。
現在、韓国国内でサッカー代表チームの人気が高く、関心を集めているのは事実だ。
FWソン・フンミン(31、トッテナム)、MFイ・ガンイン(22、パリ・サンジェルマン)、FWファン・ヒチャン(27、ウォルヴァーハンプトン)、DFキム・ミンジェ(27、バイエルン・ミュンヘン)ら欧州組の活躍によって、代表の認知度と大衆性は急上昇している。社会全般に及ぼす影響力も過去よりはるかに大きい。
ただ、クリンスマン監督は大衆の関心に見合った品格を見せていない。昨年の就任以降、度重なる外遊でKリーグを軽視し、能力のない姿で一貫した末、アジアカップで拙戦を繰り広げた。こうして、64年ぶり優勝を目指した挑戦は虚しく幕を閉じた。
大会終了後、クリンスマン監督の動向はより注目が集まった。まともな謝罪もなく、むしろ「成長した」という詭弁を並べた。甚だしくは、KFAにまともに話しすることもなく、自宅のあるアメリカへ逃げるように出国した。
試合後に勝者を祝うマナーは備えているのに、いざ自分が属している組織と国に対しては無礼だ。これこそ、民心が奈落に落ちた最大の原因である。
このままでは、クリンスマン監督は1カ月後に行われる北中米W杯アジア2次予選で大きなブーイングを受けるに違いない。何より、代表の不振がW杯予選に繋がりかねないというのがさらに大きな問題だ。
例え本大会に進めたとしても、アジアカップで見せたようなパフォーマンスでは希望を見出すこともできない。
KFAのチョン・モンギュ会長とクリンスマン監督は“運命共同体”だ。国家代表監督選任システムを無視し、会長自らの判断で連れてきた人物こそクリンスマン監督だった。会長も責任から逃れることはできない。
昨年の八百長犯赦免未遂事件で多大な批判を受けたチョン・モンギュ会長に対する信頼は、もはや底についているといっても過言ではない。とっくに底に落ちていると思われていたが、クリンスマン監督の行動によって今まで以上に後ろ指を支えている。
韓国サッカーに対する視線がこれほどまでに否定的な時は過去にもなかった。チョン・モンギュ会長が現実を痛切に認めなければならない事実だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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