日本人選手の参戦も決まった韓国プロバレーVリーグが、ひとまず“史上初の試み”を成功裏に終えた。
韓国バレーボール連盟(KOVO)が去る4月25日から27日にかけて、済州島(チェジュド)の漢拏(ハルラ)体育館と済州サンホテルで実施した男子部のアジア枠トライアウトが幕を閉じた。
2023-2024シーズンからVリーグ男女部で史上初めて施行されるアジア枠は、各チームの選手運営の効率性増進、多様な国籍の園主出場を通じたVリーグへの興味誘発はもちろん、韓国国内の学校に在学する外国籍選手たちに国内での選手生活維持の機会を提供するとともに、アジア市場への海外放映権販売を通じた新たな収入源を創出することが趣旨だ。
男子部に先立ってドラフトを実施した女子部では、7チームすべてが指名権を行使した。男子部も同様で、全7チームがアジア枠の選手を迎え入れた。
今回のドラフトを通じて男女部計3人の日本人選手が韓国Vリーグ参戦を決めた。
男子部では水原(スウォン)KEPCOビックストームがパナソニックパンサーズのリベロ伊賀亮平(28)、ソウルウリィカード・ウリィWONが同じくパナソニックのオポジット大竹壱青(27)を指名。女子部では興国(フングク)生命ピンクスパイダーズが元デンソーエアリービーズの東谷玲衣奈(24)を指名した。
アジア枠に対する各チームの反応は“好評一色”だった。
男子部では計24人がアジア枠トライアウトに参加したなか、モンゴル、日本、台湾から各2人ずつ、フィリピンから1人が指名。ポジション別ではミドルブロッカーが3人で最も多く、次いでアウトサイドヒッターが2人、オポジットスパイカーとリベロが1人ずつだった。
ひとまず、各チームは比較的安価で即戦力を補強することができた。
アジア枠で選出された選手は年俸10万ドル(税込/日本円=約1336万円)を受け取るほか、再契約の回数に制限がない。シーズンを経るごとに、本来の実力に対して天井知らずで年俸が上がり続ける韓国人選手の事情を考慮すると、かなりリーズナブルな価格だ。
各チームは着実にウィークポイントを埋めるための指名を行った。
1位指名権を行使したサムスン火災ブルーファングスはモンゴル出身のエディ(23)を指名したが、“攻撃力”に焦点を合わせた選択だった。
近年は最下位を争うなど下位にとどまり続けるサムスン火災は、今回もFA(自由契約選手)獲得など大きな補強をすることができなかった。
そこで、サムスン火災を率いるキム・サンウ監督の成均館(ソンギュングァン)大学時代の教え子であるエディを獲得したことで、攻撃陣に厚みをもたらしたわけだ。
2位指名のKEPCOもやはり、かねてから目を付けていた伊賀の獲得に成功した。
すでに所属するリベロの選手たちにはない“経験”を伊賀が持ち合わせているということで、クォン・ヨンミン監督も「経験が多い。ほかの選手たちが楽になるだろう」と活躍を期待した。
モンゴル出身のバヤルサイハン(24)を指名した安山(アンサン)OK金融グループ・ウトメン、台湾出身のチャン・ペイチャン(22)を指名した天安現代(チョナン・ヒョンデ)キャピタル・スカイウォーカーズも同様だ。
とあるチームの監督は、「自分たちだけが戦力補強に成功したと考えてはならない。すべてのチームが戦力を補強したことで、来るシーズンがより面白くなることだろう」と話していた。
また、各チームの監督と選手による面談、メディアとのインタビューは、選手の試合以外の面での考えや信念、性格などを把握するための機会として十分だった。
別の監督は、「注目している選手がどんな性格なのか、我々のチームに上手く溶け込めるかに対する好奇心が解消された時間だった」と満足感を示した。
ただ、アジア枠に対する改善点も必要だという声も一部からは出ている。
とあるチームの関係者は、「年俸をもう少し引き上げることができれば、(トライアウト)申請人数も増え、選択の幅はさらに広がるだろう」と話した。
まだ施行したばかりであり、これからが始まりだ。ひとまず、来る10月に開幕する2023-2024シーズンがアジア枠の今後を大きく左右するだろう。
なお、アジア枠で選抜された選手たちは、来る7月1日から公式にチームに合流することができる。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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