現役時代にガンバ大阪、柏レイソルでプレーし、現在は忠南牙山(チュンナム・アサン)FCを率いるパク・ドンヒョク監督が、今季のKリーグ(2部)に旋風を巻き起こしている。
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パク・ドンヒョク監督率いる忠南牙山は6月13日、ホームの李舜臣(イ・スンシン)総合運動場で行われたKリーグ2第20節の大田(テジョン)ハナシチズン戦で1-0と勝利した。
直近4連勝含むリーグ戦10試合無敗(8勝2分)と絶好調にあった大田の勢いを阻止した忠南牙山は、これまで18試合を消化して7勝6分5敗の勝ち点27とし、11チーム中4位につけた。
勝ち点31で3位の富川(プチョン)FC 1995とは4ポイント差。5位のFC安養(アニャン)とは勝ち点27、さらには総得点(18ゴール)でも並んだが、得失点差(忠南牙山が+3、FC安養が-3)で上回った。
忠南牙山は昨シーズン基準(金浦FC参入以前の10チーム体制)でKリーグ2の最低年俸チームだった。その額17億4750万1000ウォン(日本円=約1億7475万円)だ。
忠南牙山に次いで総年俸が少ない安山(アンサン)グリナース(21億1324万3000ウォン=約2億1132万円)とは約4億ウォン(約4000万円)も差があり、Kリーグ1(1部)トップの全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータース(178億251万1000ウォン=約17億8025万円)とは10倍以上の差がある。
また、忠南牙山は軍隊チームの金泉尚武(キムチョン・サンム)を除くKリーグのチームで唯一、外国人選手を一人も保有していない。
昨季までセミプロのK3リーグ(3部相当)に所属し、今季からプロのKリーグ2に参入した金浦(キムポ)FCでさえ、日本人MF丸岡満(26)など2人の外国人選手が所属しているが、忠南牙山は登録選手31人全員が国内出身選手という構成となっている。
パク・ドンヒョク監督は2018年、義務警察チームだった前身の牙山ムグンファ時代からチームを率い、今年で5年目。地方自治体運営の市民クラブに生まれ変わった現在の忠南牙山FCでは、再創設された2020シーズンこそ最下位に終わったものの、昨季は最低年俸チームながら8位でフィニッシュ。そして今季、シーズン半ばにして4位と上位で奮闘を見せている。
まだ今年43歳と“Kリーグ最年少指揮官”の肩書きを背負い続けるパク・ドンヒョク監督に率いられ、選手たちも力を発揮している。
一時はセミプロでもプレーしたFWユ・ガンヒョン(26)は、現在まで18試合に出場して8ゴールとし、Kリーグ2得点ランキングで堂々2位タイにランクイン。国内出身選手で唯一トップ5に名を連ねている。
また、FWソン・スンミン(30)、MFパク・セジク(33)、MFユ・ジュンス(34)といったベテランはもちろん、DFキム・チェウン(22)、FWチョ・ジュヨン(28)など他クラブで出場機会に恵まれなかった選手たちも、パク・ドンヒョク監督の期待に応えるかのように活躍を披露している。
このほか、元V・ファーレン長崎のDFチェ・キュベック(28)、元ガンバ大阪、ギラヴァンツ北九州、カマタマーレ讃岐のDFペ・スヨン(24)といったJリーグ経験者も在籍している。
大田戦は、チームの守備の要であるDFイ・サンミン(22)がU-23アジアカップを戦うU-23韓国代表メンバー選出により欠場していた状況だった。イ・サンミンは今季リーグ戦15試合に出場、各節のベストイレブンに2度選ばれている絶対的な主力だ。
それでも、パク・ドンヒョク監督はベテランのDFイ・ジェソン(33)を中心に、DFイ・ウンボム(26)、ペ・スヨンによる3バックを構成。そして見事、外国人ストライカーなど強力な攻撃陣を擁する大田を無失点に抑えてみせた。
パク・ドンヒョク監督体制5年目の忠南牙山は、指揮官の知略とリーダーシップがチームの隅々にまでしみわたり、今では粘り強く勝利をもぎ取るチームとなった。
パク・ドンヒョク監督は大田戦の試合後、「我々がどこまで上がることができるかはわからない。ただ、現時点で誰一人抜ける選手はいない。これは監督としてとても嬉しいことだ」と満足感を示した。
振り返ると、パク・ドンヒョク監督はシーズン開幕前のメディアデーに出席した際、「5位以上は現実的に想像しづらい」と見通したことがある。
ただ、まだシーズンの折り返しを迎えていないとはいえ、忠南牙山は明らかにチームとしての底力を発揮している。だからこそ、現時点で昇降格プレーオフ圏内を狙える位置、それ以上を狙える位置につけている。
明らかなのは、パク・ドンヒョク監督に率いられた忠南牙山の旋風が尋常ではないということだ。
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