“韓国の至宝”のプレータイムが日を追うごとに少なくなっている。
日本代表MF久保建英(20)の同僚、韓国代表MFイ・ガンイン(21)の立場がマジョルカでますます狭まっている。直近に行われた3月3日のラ・リーガ第21節延期分のレアル・ソシエダ戦でも、イ・ガンインは途中出場からピッチに立った。
直近4試合連続でのベンチスタートだ。第22節ビジャレアル戦(1月23日)で交代から22分間プレーしたのを皮切りに、第23節カディス戦(2月6日)はベンチ入りも出場せず、第24節アスレティック・ビルバオ戦(2月15日)は18分、第25節ベティス戦は45分(2月21日)、第26節バレンシア戦(2月26日)は20分、そして今回の第21節延期分レアル・ソシエダは20分。
前後半90分の試合を半分近く戦った試合も遠い過去の話になろうとしている。
シーズン前半とまったく異なる状況だ。
昨年夏にバレンシアとの契約を解除し、マジョルカに加入した直後、イ・ガンインは第4節アスレティック・ビルバオ戦で途中出場から新天地デビュー。すると、第6節レアル・マドリード戦では初めて先発に名を連ね、デビューゴールまで決める活躍を披露した。
以降、第15節ヘタフェ戦まで9試合連続先発出場を果たすなど、マジョルカで定位置を確保したかに見えたが、以降は先発とベンチを行き来した。
第24節アスレティック・ビルバオ戦では途中出場ながらチームの勝利に貢献する決定的な役割を果たしたにもかかわらず、現時点でイ・ガンインはベンチを温め続けている。
マジョルカ率いるルイス・ガルシア監督は、シーズン序盤から4-2-3-1の攻撃的MFでイ・ガンインを重用した。パスをつないで試合を展開するチームカラーと、イ・ガンインの精度の高いパス能力の相性が良かったのだ。
ただ、フォーメーションを4-4-2に変えるなど、チーム戦術に変化が加わってからはイ・ガンインの居場所が減りつつある。最近では新型コロナウイルス感染で一時的に戦列離脱したこともあり、主力争いで遅れを取っている。
イ・ガンインがユース時代から在籍したバレンシアを去った最大の目的は“出場時間の確保”だ。継続的に試合に出場できるという思いでキャリア初の移籍を決断したが、新天地のマジョルカでも、今後いつ再びチャンスを得られるかわからない状況に直面している。
イ・ガンインは来る6月にウズベキスタンで開催されるU-23アジア選手権、9月に開催される杭州アジア大会に出場するU-23韓国代表の候補の一人だ。加えて、11月にはA代表がカタールW杯への出場も控えている。現時点でイ・ガンインが控えに甘んじていることは、韓国代表としても残念な部分だ。
加えて、マジョルカは勝ち点26で20チーム中16位と、降格圏内目前の順位にいる。18位カディス(勝ち点21)との差はわずか5ポイントだ。
理想のシナリオは、イ・ガンインがマジョルカで再び定位置を確保し、韓国代表にも招集されることだ。だが、現状では何よりもまず、チーム内での主力争いで優位を占めることが最優先課題に浮上している。
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