新天地で再起を図る韓国代表MFイ・ガンイン(20、マジョルカ)だが、ここ最近はA代表でプレーするどころか招集も受けていない。彼には徹底した自己改革が求められている。
イ・ガンインは、9月に続き10月も2022年カタールW杯アジア最終予選を戦う韓国代表メンバーに選ばれなかった。
前所属のバレンシアでは出場機会に恵まれなかったイ・ガンインだが、今夏に加入したマジョルカではレアル・マドリード相手にシーズン初ゴールを決め、直近行われたオサスナ戦でも活躍するなど、本来のポテンシャルを発揮しつつある。それでも、A代表招集には至っていない。
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イ・ガンインは3月にアウェーで行われた日本代表との国際親善試合以降、約7カ月間もA代表から遠ざかっている。この間にはU-24韓国代表に選ばれ東京五輪にも出場したが、主力でプレーすることはできなかった。
2019年に行われたU-20W杯に飛び級で出場し、U-20韓国代表を準優勝に導くとともに最優秀選手に与えられるゴールデンボールも受賞したイ・ガンイン。「今後は世代別代表はもちろん、A代表にも着実に招集され、韓国サッカーの次世代を担う中心選手に成長するだろう」。当時は多くのサッカーファンがこう考えたものだ。
ところが、それから2年が過ぎた今、イ・ガンインが期待されたほど韓国代表で活躍できていないのが現実だ。
バレンシア時代は出場時間不足による実戦感覚の低下が主な要因だった。ただ、現在は少し前に東京五輪の舞台を経験し、マジョルカでも着実にプレータイムを得るなど、実戦感覚を引き上げている状態だ。にもかかわらず、韓国代表率いるパウロ・ベント監督がそっぽを向いている理由は何か。
ベント監督が強調したのは“マルチロール”だ。彼は10月の最終予選を戦うメンバーを発表した当時、記者会見でイ・ガンインを外した理由について「同じポジションにほかの選手がいる」とし、「最近の2試合で良い活躍をしたのは事実だ。しかし、我々が招集したほかの選手たちも良いパフォーマンスを見せてくれている。複数のポジションを消化できる選手もいる」と伝えた。
これは9月の最終予選を前に語った言葉と相違ない。ベント監督は当時も、MFナム・テヒ(30、アル・ドゥハイル)、MFクォン・チャンフン(27、水原三星ブルーウィングス)、MFイ・ドンギョン(24、蔚山現代)、MFイ・ジェソン(29、マインツ)などイ・ガンインと似たポジションの選手に言及し、「複数のポジションでのプレーが可能だ」と強調した。
実際、彼らは攻撃的MFはもちろん、ウィングや前線での起用も可能だ。イ・ガンインも状況に応じてポジションを移動することはできるが、ベント監督の期待する水準には及んでいない。
イ・ガンインは3月の“日韓戦”で最前線に起用され、ゼロトップを務めたことがある。代表の事情に詳しい関係者は、「当時は新型コロナウイルス感染症の影響でベント監督の望む選手が代表に来られなかったことが大きく、イ・ガンインが前線の代替者として出場したのは事実だが、期待したレベルには達していないという評価が出ている」と述べた。
ベント監督は攻撃陣に対し連係プレーはもちろん、特にスピードを重視するが、当時のイ・ガンインはロングパスに依存しただけで目立った活躍を見せられなかった。結局、前半を終えてハーフタイムでベンチに下がることになった。
もちろん、“日韓戦”の1試合だけを理由に韓国代表から呼ばれなくなったわけではない。
イ・ガンインは“韓国のメッシ”と呼ばれたFWイ・スンウ(23、シント=トロイデン)など、ユース時代から期待された一部の欧州組の有望株がA代表から漏れたのと軌を一にしている。チームに調和したプレーよりも自身のスタイルを重視するという視線が伴う。
複数のサッカー関係者は、イ・スンウがA代表から遠ざかった理由について、「監督はウィングが自身の役割をまっとうすることを望むが、(ユース時代の習慣からか)度々中央でプレーする動きが目立ち、個人戦術にこだわることが短所として挙げられている」との見方を示した。
多くの専門家は、イ・ガンインがA代表で成功するにはチームのテンポに溶け込むプレーが必要だと強調する。
とあるサッカー関係者は、「U-20W杯でイ・ガンインが活躍できたのは、(当時のU-20韓国代表を率いた)チョン・ジョンヨン監督が長い時間をかけてイ・ガンインのスタイルを活かす戦術を完成させたからだ」とし、「A代表のレベルはまったく違う。イ・ガンインが先輩に合わせてプレーできなければならない」と述べた。
実際、東京五輪でU-24韓国代表を率いたキム・ハクボム監督も、「ボールタッチの回数をなるべく減らし、速いテンポでビルドアップをしなければならない」とイ・ガンインに助言したことがあったという。
相次ぐA代表落選を教訓に、さらにもう一段階レベルアップすることができるか。イ・ガンインのマジョルカでの奮闘を今後も見守りたい。
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