12月3日夜に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突如宣言した「非常戒厳」。数時間で解除されたものの、その影響はあらゆる場所に及んでいる。
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特に、外国人観光客減少の懸念、為替レートの急騰による原材料コストの上昇、消費者心理の冷え込みなど、複合的な要因によって緊張しているのが食品業界だ。
非常戒厳宣言直後の4日、ウォンとドルの為替レートが急騰し、一時は1442ウォン(151.72円)にまで上がっていた。これにより、輸入原材料を扱う食品企業の原価負担も重くなっている。
小麦、大豆、とうもろこしなど主な穀物の価格上昇は、ラーメン、菓子、パンなど加工食品業界に直撃。専門家は「為替レートが安定しなければ収益性が悪化するだろう。原価上昇が持続すると、価格の引き上げは免れない」と見通した。
また、主要国家が韓国を「旅行危険国家」に分類したり、旅行警報を発令したことにより、外国人観光客の減少も予想される。実際、韓国旅行を計画していた外国人のキャンセル、または延期が相次いでいる。
オリーブヤング、ダイソー、ムシンサなど、外国人の売上比重が高い流通業者も、今回の事態を鋭意注視している。特に、明洞(ミョンドン)、弘大(ホンデ)など外国人観光客が多く訪れる地域は、すでに売上減少を憂慮して状況だ。
海外市場における韓国フードへの打撃も問題だ。一部海外メディアが韓国政治の不安を報道したことで、輸出に否定的な影響を及ぼしかねないと分析されている。
タイミング的にも最悪だ。内需市場が冷え込むことにより、本来盛り上がるはずの年末ムードに水が差された。
クリスマス、忘年会などで外食業界が特需を享受する時期だが、食事会などは減少すると予想されており、需要の減少、売上下落も避けられないという展望だ。ある外食業界の関係者は「年末に期待していたが、雰囲気が一気に冷え込んだため心配が大きい」と話すほど。
このように、食品業界は当面の間、不安定な時期を過ごすこととなる。政府の為替安定化政策、消費促進対策が回復の希望となる見通しだ。
食品業界の専門家は「戒厳宣言後、政府の経済安定化政策が為替レートを安定させることができるかが肝心だ」として、「今後、為替レートの安定化と消費者心理の回復が業界の主な注目ポイントになる」と見通した。
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