「あなたが次の大統領をやってくれ」
最近、韓国の若者世代の間で流行している言葉だ。一国を代表するに相応しい“正しい行い”をする芸能人に向けた一種の褒め言葉であり、社会に対する皮肉も込められているのだろう。
1990年代には歌手ソ・テジが「文化大統領」と呼ばれた。現在は「文化大統領」ではなく、たとえ冗談だとしても一国の指導者である「大統領」の候補に挙げられるという点で、芸能人の地位が変わったことを感じさせる。
若者世代が挙げる“大統領候補”として真っ先に名前が出るのは、歌手のイム・ヨンウン(32)だ。歌であれば歌、善行であれば善行、さらにファンに向けたマナーまで、何ひとつ不足なところがない。
トロット歌手として初めてソウル高尺(コチョク)スカイドームでの公演を完売させるなど、高い人気を誇るイム・ヨンウンは、自分が高価な商品を広報すればファンが無理して購入するのではないかと広告活動を丁重に断っていると知られた。
昨年1月には交通事故現場で意識を失って倒れた事故車両の運転手に心肺蘇生法などの応急処置を行い、救助活動に貢献したことが知られて大きな話題を集めた。
BTS(防弾少年団)のリーダー、RM(28)も“大統領候補”としてよく名前が上がる。
2018年に米ニューヨークの国連本部信託統治理事会会議場で開かれた国連児童基金(UNICEF)青年アジェンダ「ジェネレーション・アンリミテッド」イベントで、メンバーたちと共に流暢な英語で演説したことはもちろん、様々なインタビューを通じてK-POP歌手を代表する意味のある回答をしていることなどが高い点数をつけた。
実際にユーチューバーのKrisが2022年2月、自身のYouTubeコミュニティに「大統領を推薦して」と載せた掲示物で、RMの前活動名「ラップモンスター」が1位を記録したりした。
バラエティ番組『ピョンピョン地球娯楽室』(原題、tvN)で活躍中の女性ラッパー、イ・ヨンジ(20)も大統領候補に挙げられる芸能人だ。年齢のわりに深い内面を持っており、大金を寄付する姿が高く評価されている。
イ・ヨンジは寄付について「10を稼いだら1くらい寄付する。母親と祖母に家を買ってあげて車も選んであげ、生活費も差し上げているので満足している」とし、「私の人生をこの程度のラインで安全に営むことだけにお金を使い、その他は困難な人を助けたい。社会に全財産を還元したい」と所信を明らかにしたこともある。
若者たちが「次の大統領になって」と口にする芸能人たちは、いずれも高い人間性の持ち主であることは間違いない。
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