FWソン・フンミン(29、トッテナム)をキッカーとして活用したセットプレー。これが、サッカー韓国代表が6月の国際Aマッチ4連戦で得た収穫だ。
コーナーキック、フリーキックなどのセットプレーは確実な得点チャンスの一つだ。いくら守勢に追い込まれていたとしても、セットプレーの一発で雰囲気や結果を一変させることができる。
韓国代表はこれまで、2006年ドイツW杯のトーゴ戦でMFイ・チョンス(40、引退)、2010年南アフリカW杯のナイジェリア戦でFWパク・チュヨン(36、蔚山現代)が直接フリーキックを決め、2018年ロシアW杯のドイツ戦ではソン・フンミンのコーナーキックからDFキム・ヨングォン(32、蔚山現代)が得点を決めたことがある。ただ、セットプレーがチームの完璧な“秘策”とはなってこなかった。
それでも、今回の6月の国際Aマッチ4連戦では、セットプレーから計3ゴールが生まれた。同期間の総得点(9ゴール)の3分の1を占めた形だ。そして、そのすべてでキッカーを務めたのがソン・フンミンだった。
ソン・フンミンはドリブル突破やフィニッシュの能力が長所に挙げられるが、正確なキックも持ち合わせている。実際、所属チームのトッテナムでもコーナーキックのキッカーを務めている。
韓国代表でもこれまで、コーナーキックのみキッカーを務めてきたが、今後はフリーキックも責任を負うものとみられる。過去には元京都サンガF.C.、ジュビロ磐田、ヴィッセル神戸のMFチョン・ウヨン(32、アル・サッド)、元アルビレックス新潟のDFキム・ジンス(30、全北現代モータース)などが交代でフリーキックを蹴ってきた。
ソン・フンミンは6月のAマッチ2戦目のチリ代表戦で、後半ロスタイムにペナルティエリア正面から右足で鋭いフリーキックを決めた。ゴール左上に突き刺さる完璧なシュートだった。
これにとどまらず、3戦目のパラグアイ代表戦では0-2とリードされた状況でのフリーキックで、今度は右上に吸い込まれる正確なシュートを放ち、得点を生み出した。韓国代表において、2試合連続で直接フリーキックから得点した選手はソン・フンミンが史上初めてだ。
そして、最終戦のエジプト代表戦では、ソン・フンミンのコーナーキックをニアのFWファン・ウィジョ(29、ボルドー)が頭でフリックし、最後はキム・ヨングォンがヘディングでゴールを決めた。ソン・フンミンのキックも正確だったが、ファン・ウィジョの動き出し、キム・ヨングォンのポジショニングも完璧なゴールだった。
韓国代表はカタールW杯グループステージでポルトガル代表、ウルグアイ代表といった格上と対戦する。このため、90分間で得点チャンスがほとんど訪れない可能性が高い。であれば、セットプレーを積極的に活用する必要がある。
それだけに、ソン・フンミンの正確な右足は韓国代表のポジティブ要素だ。コーナーキックから確実に得点を狙えるファン・ウィジョ、キム・ヨングォンなどとも長い時間息を合わせてきた。動き出しやタイミングを正確に知っているだけに、ソン・フンミンによるセットプレーは本大会でも貴重な武器となりそうだ。
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