いい加減な態度で試合に臨んだ結果、さらに大きな災いを招きかねない事態が発生した。
現在、各地で集中開催されているアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)グループステージで、東南アジア勢にそろって足を引っ張られた韓国Kリーグの話だ。
今季ACLグループステージに出場しているKリーグ1(1部)の大邱(テグ)FCと蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)、Kリーグ2(2部)の全南(チョンナム)ドラゴンズの3チームは、4月18日の第2節で、いずれも戦前に格下との見方が多かった東南アジア勢に敗れる屈辱を味わった。
グループG全南は、タイのパトゥム・ターニー・スタジアムでBGパトゥム・ユナイテッド(タイ)に0-2で完敗した。
初戦でユナイテッド・シティ(フィリピン)に0-1の辛勝を収めた全南は、パトゥムとの試合で枠内シュートが2本に終わるなど、凄惨なパフォーマンスで敗れることになった。
グループFの大邱FCは、タイのブリーラム・スタジアムでライオン・シティ・セーラーズ(シンガポール)に0-3の惨敗を喫した。
警戒対象第1位に挙げられた長身の元韓国代表FWキム・シンウク(34)が出場しなかったセーラーズに対し、大邱FCは韓国出身のシンガポール代表MFソン・イニョン(28)、ブラジル人MFディエゴ・ロペス(27)を中心とした相手の高速カウンターを食い止めることができず、守備が崩壊してしまった。
何より、今季Kリーグ1で唯一無敗(7勝2分)を貫き、単独首位を走っていた蔚山現代の敗北は大きな衝撃だった。グループIの蔚山現代は、マレーシアのスルタン・イブラヒム・スタジアムでジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)に1-2で敗れた。
蔚山現代は、イタリア・セリエAやイングランド・プレミアリーグを経験したイタリア人FWフェルナンド・フォレスティエリ(32)に開始3分で先制ゴールを許すと、同点に追いついて迎えた後半35分、Kリーグの水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスや釜山(プサン)アイパークに在籍したブラジル人FWベルグソン(31)の決勝ゴールで今季初黒星となった。
3チームいずれも、言い訳のしようのない敗北を喫した理由にはさまざまな要因が存在するが、韓国では彼らの“試合に臨む姿勢”を指摘する専門家が多い。
Kリーグの選手たちは韓国で比較的肌寒い天気のなか試合を戦っていたこともあり、ACLが集中開催される東南アジア各国の現地の高温多湿な気候に慣れず、結果的に試合への没入度が落ちた。
ACL優勝候補にも挙げられる蔚山現代をもってしても、ジョホール戦で得点を許した2人の外国人選手は戦前から警戒対象に挙げられていながら、実際にはチーム全体の安易な守備が失点の口実となった。
これにはホン・ミョンボ監督も、「失点シーンすべてがミスによるものだった。今日は我々が勝利できる内容ではなかった」と敗北を受け入れるほかなかった。
ACLは新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年からグループステージを中立国での集中開催で行っている。
昨年のACLでは、Kリーグから出場した蔚山現代、大邱FC、全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータース、浦項(ポハン)スティーラースの全4チームが決勝トーナメントに進出した。
Kリーグ勢は日本や中国のビッグクラブを除けば、そのほかのチームには概ね戦力面で上回るため、以前のようにホーム&アウェーを戦うよりも、一つの地域で集中的に行った方が良いという見方があった。
そんななか、今年も中立国での集中開催となり、さらには中国勢が新型コロナ拡散を理由に主力を送り出さなかったことで、Kリーグ勢の決勝トーナメント進出はさらに容易になると見られた。
ところが、ちょっとした気の緩みから緊張感が落ちたからか、試合準備の過程や選手たちの試合に臨む態度が以前までと違うという指摘が出てきている。
近年、東南アジア各国のチームはトップクラスのフォワードを獲得するなどし、ACLでも十分に戦えるまで競争力を高めてきた。東南アジア勢を“格下”と捉えず、慎重に立ち向かわなければ、こうした異変は今後も続くという話だ。
また、想定よりも早くACL敗退が決定したり、低調なパフォーマンスに終始したりすることがあれば、帰国後のリーグ戦でもネガティブな影響が及ぼしかねない。
グループステージが今後4試合残っているとはいえ、Kリーグ勢は今からでも気を引き締める必要がある。残りの試合を“背水の陣”の覚悟で戦わなければ、今季ACLでKリーグ勢が全滅してしまう可能性もゼロではない。
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