元湘南ハン・グギョン、“満身創痍”で戦い抜いた2021年を振り返る「過去最も厳しいシーズンだった」【インタビュー】

かつて湘南ベルマーレ、柏レイソルで活躍した元韓国代表MFハン・グギョン(31、江原FC)。彼は2021シーズンの江原(カンウォン)FCにおいて決して欠くことのできない“中核”だった。

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ハン・グギョンにとって、2021年は過去になく困難な1年だった。というのも、2020シーズンのリーグ戦で起こした脳震とうの後遺症でコンディションが正常ではなかったのだ。

2021シーズン中も夏に足首の靭帯を損傷しながら、12月の昇降格プレーオフまでほとんど休みなくプレーした。まさに、頭からつま先まで“満身創痍”で戦ったシーズンだったと言える。

加えてチーム状況も悪かった。シーズン中にはチームメイトが交通事故に遭い、新型コロナウイルス感染者も現れた。リーグ戦でも下位に低迷し、2部降格危機も経験した。

「あまりに苦しすぎて考えたくもない」

昨年12月、本紙『スポーツソウル』のインタビューに応じたハン・グギョンは、「個人的に最も厳しいシーズンだった」と1年間を振り返った。

ハン・グギョン

そして、「冗談抜きで生きるためにもがいた。困難な状況を乗り越えようと努力した。自分の調子が悪くても、チームの成績が良ければそれほど大変ではなかっただろうが、チームも苦しんだ。どうやって過ごしたかわからないほどだ。あまりに苦しすぎて今シーズンのことを考えたくもない」と、個人としてもチームとしても困難に見舞われたシーズンだったと伝えた。

それでも、「だからこそより記憶に残るのだろう。これから起きるであろう大体のことはすべて乗り越えられそうだ」と前を向いた。

リーグ戦を12チーム中11位で終え、2部の大田(テジョン)ハナシチズンとの昇降格プレーオフに回った江原FCは、ホーム&アウェーのプレーオフで、アウェーでの第1戦を0-1で敗戦。残留へ絶対に負けられないホームでの第2戦でも、大田に先制ゴールを許し絶体絶命の状況に追い込まれてしまう。

ただ、危機に陥ったチームを救ったのがハン・グギョンだった。ハン・グギョンは江原FCが2-1と巻き返した状況で、ペナルティエリア内でのドリブル突破から決勝点となるゴールを決めてみせた。

その後、江原FCはもう1点を追加し4-1で勝利。2戦合計スコア4-2で1部残留に成功した。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)昇降格プレーオフ第2戦で決勝点を決めたハン・グギョン

普段はチームの“助演”に徹していたハン・グギョンが、フィナーレでは華々しく“主人公”を演じた。

「ちょうどその日が結婚記念日だった。試合を準備するまでの間、妻は“ほかの何もいらないから必ず勝って”と言った。それが本当のプレゼントだとも強調された。だから、自分もいつも以上に気持ちを高めて試合に臨んだ」というハン・グギョン。

「イメージトレーニングをたくさんした。“自分がゴールを決めてチームを救うんだ”ということを想像していたし、どのようにゴールを決めるかも思い描いた。本当に執念のゴールだ。セカンドボールを取った後、マサ(石田雅俊、大田所属MF)が目の前にいたから1回のタッチで外した。途中で顔を上げたら、視野にコースがハッキリ見えた。そこしか見ていなかった」と、当時のゴールシーンを回想した。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)石田雅俊

ハン・グギョンは試合直後、「人生はそんなに甘くない」という意味深長な言葉を伝えていた。

「大田の選手たちから、第1戦が終わった時点で昇格したかのような雰囲気が感じられた。多くの選手が“(昇格に)人生を懸ける”としていたが、人生を懸けたからと言って思うようにいくわけではない。マサが素晴らしい選手であることは知っているが、自分がほんの少しだけ経験のある先輩として、人性が甘くないことを知らせたかった。(2014年ブラジル)ワールドカップ当時、本当に切なる思いでプレーしたベルギー代表戦がそうだった。切実な思いで戦ったが望み通りにはいかなかった」

ハン・グギョンが石田について言及した理由には、石田が以前、韓国で反響を巻き起こしたとある言葉がある。

2021シーズン開幕前に江原FCに加入した石田は、夏に大田へレンタル移籍で加入。その後、10月のリーグ戦でプロ初となるハットトリックを達成した際、試合後のヒーローインタビューで通訳に頼らず、自らの韓国語で伝えた「これまでのサッカー人生を振り返ると、自分は敗者だと思っています。それでも、こうして人生を変えられる試合がいくつもあります。いずれにしても、昇格のために人生を懸けます」という言葉が、サッカー界を越え韓国国内で大きな話題を呼んだのだ。この石田の言葉が、ハン・グギョンを強く刺激させたという。

「江原が好き。チームの役に立ちたい」

ハン・グギョンは第2戦の試合後、1部残留を喜ぶより、2018~2020年に江原FCに在籍した元チームメイトである大田MFイ・ヒョンシク(25)に近寄り慰労していた。この場面は中継にも映し出され、Kリーグファンの間で話題にもなった。

ハン・グギョンは「ヒョンシクは良い選手だ。大田でも良いプレーを見せてくれた。ベンチで悲しんでいる様子が見えて心が痛かった。慰めにはならないが、スキンシップをしてあげたかった。ヒョンシクはまだ若い選手だ。短い時間だったが、“チャンスはもっとある。キビはどこに行っても愛される選手だから、もっと良いシーズンが来るはずだ”」と、当時の場面について語った。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)ハン・グギョン

ただ、チームをめぐり良くないこともあった。昇降格プレーオフ第2戦で、ホームの江原FCのボールボーイが大田に対し露骨な遅延行為を働き、非難が殺到したのだ。加えて、イ・ヨンピョ代表取締役の「欧州ではよくあること」という発言も火に油を注いだ。結果として、劇的な残留を成し遂げた江原FCの選手の功績は、周囲の雑音によってかき消されることになった。

このことについて、ハン・グギョンは「試合中はまったくわからなかったが、騒ぎになるのを見ながら残念に思った。サッカーであのようなことが起こってはならない。どこであってもボールボーイが妨害してはならない。個人としても残念だ。チームを愛する気持ちはよくわかるが、それが間違って出てしまったようだ」と、率直な心境を伝えた。

ハン・グギョンはシーズンを終えて指導者C級ライセンス講習を受講した。現在は足首の治療に専念しつつ、来る2022シーズンに向けて準備を進めている。

ハン・グギョンは最後に、「今はもう気が楽だ。新シーズンのことを考えるとワクワクする。自分は決してサッカーが上手な選手ではないが、どんな監督の下でも与えられた役割を上手く遂行できると思う。コンディションさえ良ければ来シーズンは自信がある。僕は江原が好きだ。感謝の気持ちも大きい。チームの役に立ちたい」と、来季の決意を力強く語った。

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