「ガンバでずっと一緒でしたし、FC東京で監督を務めていたときも呼んでいただきました。僕の日本生活における“オンジン(恩人)”と言いますか、師匠ですよね。僕が最も尊敬する指導者です。
名古屋では、マッシモ・フィッカデンティ前監督が(ルヴァンカップで)優勝してチームを離れることになり、オフに選手もたくさん入れ替わりました。今季は難しい戦いが続いていますが、健太さんは名将なので、どんな困難も乗り越えてくれると思います。
ガンバでも東京でも優勝を成し遂げたので、名古屋でも優勝してもらいたいと願っています」
―ガンバ大阪には今季からクォン・ギョンウォン選手が加入しました。彼の活躍をオ・ジェソク選手はどう見ていますか。
「(クォン・)ギョンウォンとは今も連絡を取り合っていて、ガンバの状況をよく聞いています。ギョンウォンも、韓国ではKリーグトップレベルの選手でしたが、日本に行ってからは“ガンバの選手がかなり上手で衝撃を受けた”、“サッカースタイルがKリーグと全然違う”といった話を聞きます。僕が初めてJリーグでプレーしたときに感じたことを、ギョンウォンも同じように感じているみたいです。
ガンバはとても素晴らしいチームですし、韓国人選手に対しても友好的なクラブです。それに、ギョンウォンはヨングォンとも似たプレースタイルなので、上手く適応してくれると思っています」
―一方、チュ・セジョン選手は今季あまり出場機会を得られていません。
「韓国のMFが日本で認められることは簡単なことではありません。日本のMFには優れた選手がとても多いので、セジョンもなかなか試合に出られないのだと思います。ただ、彼自身、Jリーグに行くことが本人の目標であり、夢でした。それに、例えガンバでなくても、ほかのチームで挑戦するという選択肢もあると思います。セジョンは韓国代表経験もある素晴らしい選手なので、もっと良い姿を見せてくれると信じています。
日本で生活する今の時間は、セジョンの家族にとっても良いと思います。例え試合に出られなくても、生活面では韓国よりもストレスが少ないので、家族の生活や人生という意味では、日本にいることが助けになります」
―ガンバではこれまでも、キム・ヨングォン選手やファン・ウィジョ選手など、多くの韓国人選手がプレーしてきましたが、“ガンバファミリー”のつながりは今も深いのでしょうか。
「もちろんです。コロナが落ち着いたらみんなで大阪に行って、スタジアムで直接応援もしたいと思っているので、いつか必ず行ってみたいですね。
ヨングォンとは彼が蔚山現代に移籍した今もガンバの話をよくしていて、“今の状況はどうなんだろう”、“今は順位が少し下だね”みたいな話をしています。
ウィジョは、ガンバで自身のキャリアハイを築き、欧州にステップアップできたので、常にガンバに対する感謝の気持ちは持っていると思います。これは個人的な考えですが、彼が今後年齢を重ねて、機会があればまたJリーグに挑戦するのではないかと思っています。ウィジョは欧州で長く活躍できると思いますが、日本で良い思い出を残したので。
ウィジョやヨングォン、そして自分にとっても、ガンバ大阪というチームは最高の記憶として残っています」
―かつてFC東京でチームメイトで、今夏にヴィトーリア・ギマランイスへのレンタル移籍が決まった小川諒也選手は、5月末の壮行セレモニーで「僕は選手たちに恵まれた。素晴らしいサイドバックの先輩たちがいた」として、オ・ジェソク選手のことも言及していました。
「諒也には、インスタグラムで個人的にメッセージを送りました。FC東京でチームメイトだったときも、諒也は本当に素晴らしい選手だ、日本代表にも入れるレベルの選手だと思っていました。
同じサイドバックでしたが、単なる競争というより、本当にワンチームという雰囲気がありましたね。諒也が今回、自分の能力を発揮して海外進出することになったのを本当に祝福したいです。難しい挑戦になるとは思いますが、しっかり勝ち抜いてほしいです。
同じくFC東京で一緒にプレーした室屋成も、今はドイツにいますよね。彼らのような欧州に進出したサイドバックの選手と一緒にプレーできたことが、僕にとってはプライドとして残っています」
―では、Jリーグで最後に所属した名古屋グランパス時代のチームメイトとは、今も連絡を取り合っているのでしょうか。
「もちろんです。アベちゃん(阿部浩之)とはたまに連絡を取りますし、相馬勇紀や稲垣祥とも連絡を取り合っています。成瀬竣平がファジアーノ岡山に行ったことも知っています。(相馬に)子どもが生まれたときは“おめでとう”ってメッセージを送りましたよ。名古屋の選手の活躍は今も見守っています」(つづく)
(取材・文=姜 亨起)
■【第1回】オ・ジェソクが今こそ語る「名古屋移籍」と「韓国復帰」の裏側