韓国Kリーグ、複数クラブで新型コロナ集団感染発生も“強行開催”の姿勢を崩さない理由

韓国プロサッカーKリーグ1(1部)の一部チームで新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生し、試合開催に赤信号が灯った。

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そんななか、リーグ正常運営の最少エントリーとなる「17人」という基準が議論を呼んでいる。

Kリーグ1では、去る3月11日の第5節で対戦した蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)とFCソウルでクラスターが発生した。特に蔚山現代では、選手のみならずコーチ陣や職員からも感染者が続出し、合わせて20人近くが感染判定を受けたと伝えられた。

結局、15日に行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフのポートFC戦は通常通り開催したものの、本職ウィングのFWユン・イルロク(30)を左サイドバック、本職中盤のMFキム・ソンジュン(33)をセンターバックで起用せざるを得ず、さらにはプレイングコーチのMFイ・ホ(37)もベンチ入りさせるなど、厳しすぎる台所事情をうかがわせた。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)蔚山現代

ところが試合後、ポートFC戦に出場した選手の一部が喉の痛みなどオミクロン株の症状を訴えた。そして翌16日、新たに7人の感染が発覚した。

第5節で蔚山現代と対戦したFCソウルも、クラブ公式SNSを通じてクラスター発生を発表。試合後から現在までに選手11人、スタッフ6人の陽性が確認され、ほかにも新型コロナと疑わしき症状を訴える人が出ているという。

負傷者含め17人満たせば「通常開催」

こうした状況から、自然と今週末に控えたKリーグ1第6節の開催可否に関心が集まっている。FCソウルは19日にホームのソウルワールドカップ競技場で済州(チェジュ)ユナイテッド、蔚山現代は20日にホームの蔚山文殊サッカー競技場で浦項(ポハン)スティーラースとの対戦を予定している。

試合日まで数日残されている状況ではあるが、この間にチーム内で新たな感染者が発生する可能性はゼロではない。加えて、潜伏期間の状態の選手がいる可能性も考慮すれば、対戦相手に感染が広がるリスクも考えられる。

ただ、Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟は、16日に内部で実施した会議を通じて、FCソウル対済州、蔚山現代対浦項の2試合を強行開催する方針を固めた。

この決定は、今年1月に行われた第1次理事会で議決された「出場可能選手が最低17人以上(GK1人含む)で、▲新型コロナ検査の結果陰性、▲無症状、▲隔離非対象の要件を満たせば延期せずに開催する」という、新型コロナ感染者発覚時のリーグ運営案に関する原則に遵守したものだ。

つまり、主力が新型コロナ感染によって離脱していたり、試合当日に隔離が解除されてコンディションが正常でなかったりしても、「17人」のエントリーを満たすことができるのであれば、試合は通常通り開催するという意味だ。

問題は、その「17人」の基準に“負傷者”が含まれていることだ。

韓国国内のプロスポーツにおいて、リーグ正常運営における最少エントリーの基準を策定する際、負傷者もカウントに含めるのはプロサッカーのKリーグだけだ。

同じくシーズンが行われているプロバスケットボールのKBL、プロバレーボールのVリーグは、最少エントリーを「12人」としているが、新型コロナ感染者のほかに負傷者もカウントから除外している。

この基準によって厳しい状況に置かれているのがFCソウルだ。

FCソウルでは現在、前述した新型コロナ感染者11人に加えて、負傷者を10人も抱えている。韓国プロサッカー連盟がリーグ運営案の原則に基づき、来る試合を強行開催するようであれば、FCソウルはエントリーを埋めるため、一部の負傷者をメンバーに含めなければならない。

もっとも、韓国プロサッカー連盟がこのような基準を定めたのにはそれなりの理由がある。

サッカーというスポーツの特性上、負傷の度合いというものは非常に広範囲にわたる。このため、明確な基準を設けずに負傷者もエントリーから除外してしまえば、これを逆手にとって基準を悪用するクラブが登場しかねないからだ。

とはいえ、プロスポーツの運営は「フェアプレー」とともに「選手保護」が基本となるべきだ。そうなれば、最少エントリーに負傷者も含めるという原則は表面的に議論を呼ぶしかない。

このため、韓国プロサッカー連盟は今後、最少エントリー「17人」の原則に含める負傷の基準について、検討を重ねるものとみられる。

クラブ間で異なる利害関係

「17人」の原則のほか、Kリーグ内ではクラスター発生のリスクについても強固な姿勢が伺える。結局、感染拡大や潜伏期間のリスクについては、現状どのチームも同程度抱えているという雰囲気が存在しているのだ。

また、今週のリーグ戦でFCソウルと対戦する済州は、試合を正常通り戦う意思を見せるなど、クラブ間で異なる利害関係が生まれているのも事実だ。

ただ、仮にチーム内クラスターがリーグ全体に広がることになれば、それこそ取り返しのつかない事態となる。

今シーズンのKリーグは冬季開催のカタールW杯の特殊性を考慮し、史上最速となる2月にシーズンを開幕し、10月までに全日程を終了させる日程を組んだ。非常にタイトな日程であるため、万が一の場合の予備日も例年より少ない。

ただ、“ウィズコロナ”を明確に施行しているイングランド・プレミアリーグでも、特定チームでクラスターが発生した場合には、事務局の判断で試合を延期している。

蔚山現代では浦項戦を控えた現在までに新たに4人の感染者が発生し、17人のエントリーを満たせない状況であるという。シーズン序盤にして、Kリーグが新型コロナの猛威に苦しめられている。

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