サッカー韓国代表キャプテンのFWソン・フンミン(31、トッテナム)の父親で、韓国国内でサッカースクール「SONフットボールアカデミー」を運営する監督ソン・ウンジョン氏らの“児童虐待疑惑”をめぐり、市民団体が厳重な捜査と再発防止を呼び掛けた。
7月1日、文化連帯代案体育会、民弁(民主社会のための弁護士の会)文化芸術スポーツ委員会、スポーツ人権研究所、体育市民連帯は、「SONフットボールアカデミー児童虐待事件、厳重な捜査と再発防止が必要だ」という共同声明を発表した。
同団体は、声明文で「SONフットボールアカデミーの指導者たちは釈明文を通じて、コーチと選手の間で先着順のランで遅れたら一発叩くことで合意したと主張する一方、“子どもたちに対する愛が前提になっていない言動と行動は決してなかった”と伝えた。これは今まで繰り返されたスポーツ界の人権侵害事件における加害者たちの弁解と大きく変わらない。むしろ、彼らの人権感受性が非常に不足していることを証明するだけだ」と批判した。
続けて、「成功した選手になるために黙々と練習する児童たちと、彼らの首輪を握っている指導者は決して同等な地位にない。なぜ彼らが体罰をめぐって同等な立場で合意などが可能なのか」とし、「多くのスポーツ暴力において、指導者たちは“愛”と“訓育”を言い訳に暴力を行使する」と指摘した。
また、「“ソン・フンミン神話”に隠れて、選手として成功するために多くの児童・青少年と保護者たちがスポーツ暴力を黙々と我慢しているかもしれない」とし、「児童が大小の暴力に耐えなければならない文化とシステムは、今回の機会を通じて明確に変わらなければならない」と明らかにした。
そして、SONフットボールアカデミーには被害児童の保護及び支援のための対策を用意すること、関係当局にはSONフットボールアカデミー児童虐待事件に対して厳重に捜査することを要求。韓国サッカー協会(KFA)及びスポーツ倫理センターには、私設サッカーアカデミー内のスポーツ暴力に対する厳正な調査の実施を促した。
また、来る7月4日、弘大(ホンデ)入口駅のスペースエムで緊急討論会を開催することを予告した。
緊急討論会ではスポーツ人権研究所のハム・ウンジュ事務総長が司会、文化連帯代案体育会のチョン・ヒジュン執行委員が発題を務め、ほかにも体育市民連帯のキム・ヒョンス執行委員長、民弁文化芸術スポーツ委員会スポーツ人権チームのキム・ジョンウ氏、ジャーナリスト、体育教師などが参加する。
一方、ソン・ウンジョン氏は自身を告訴した保護者A氏との争いを続けている。
去る6月28日には、A氏がソン・ウンジョン氏を代理する弁護士に「“20億ウォン(約2億3338万円)でも良い。少なくとも5億ウォン以下にはしないでください”と話した。本当だ。世間に知らせず、円満に合意するとなれば、今はお金だけではないだろうか。少しだけ受け取るつもりはない。5億ウォン以上は受け取るべきだと思う」と伝えた録音記録が公開された。
この録音記録の内容が物議を醸すと、A氏の弁護人は「あたかも本人に過ちがなく、告訴人側に巨額の合意金を要求する人間のように言及しているが、これは2次加害だ。ソン監督は何の謝罪もせず、連絡もまったくない状態で、弁護士を通じて処罰不願書作成、言論情報提供禁止、サッカー協会への懲戒要請禁止を合意条件として提示した。被害者側は怒りの表現で感情的に話しただけで、真剣に、具体的に合意金に関して話したわけではなかった」と釈明した。
これに先立ち、ソン・ウンジョン氏は6月26日に発表した立場文のなかで、「アカデミー入団を希望される保護者の方々には、良くも悪くも私が自分の息子(ソン・フンミン)に教えた方法そのままで子どもを指導すると申し上げ、子どもたちに対する苛酷なトレーニングを予告しています」と、“保護者の同意を得て指導をしている”と明かした経緯がある。
だが、A氏は今月1日に『MBN』のインタビューに応じた際、「アカデミーに登録する前後でソン・ウンジョン監督を見たことはなく、学生たちに対する発言など、苛酷なトレーニングをするという合意や同意は受けたことがない」と反論した。
また、ソン・フンミンの実の兄でSONフットボールアカデミーのコーチを務めるソン・フンユン氏に対しても、「ソン・コーチも父親と同じように暴言を言う。現在まで公開されたのは氷山の一角だ」と主張した。
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