サッカーアジアカップを取材する各国のメディアは、首都ドーハの市内にあるメインメディアセンター(MMC)を拠点に活動する。
MMC内には、前日会見などで使用するプレスカンファレンスルームをはじめ、Wi-Fiを無料使用できるワークスペース、昼と夜で食事が無料提供される食堂などが設置。
また、試合当日にはMMCと各会場を往復するシャトルバスも出るなど、メディアのためにあらゆるサービスが施されている。
そんなMMCでは各所にモニターが設置されていて、毎日アジアカップの試合が流れている。特に、入口正面に設けられた大型スクリーンによるパブリックビューイングは迫力満点だ。
2月3日、日本代表対イラン代表の準決勝取材を終え、エデュケーション・シティ・スタジアムからシャトルバスでMMCに戻り、しばらく作業をしていると、パブリックビューイングから歓声が聞こえてきた。
日本時間4日0時30分(現地時間3日18時30分)にキックオフした準決勝のもう1試合、カタール代表対ウズベキスタン代表が1-1で延長120分を終え、PK戦に突入したからだ。
MMCには日本や韓国など各国のメディア関係者が残っていたが、PK戦が始まると皆作業を一時的に止めてモニターを凝視。GKがキックをセーブすると歓声を上げ、キッカーがシュートを外した際には嘆声を漏らしていた。
そして、両者2人ずつ失敗し2-2で迎えた5人目、先攻のウズベキスタン選手がキックを失敗。カタールは決めれば準決勝進出という場面で“喜びのズレ”があった。
当時、モニター内に映ったカタール5人目のDFペドロ・ミゲル(33)、ウズベキスタンGKウトキル・ユスポフ(33)に皆が注目していたなか、一部から突然大きな歓声が上がった。カタールのメディア関係者とみられる人物たちは、抱擁して喜びを分かち合っていた。
PKを蹴る前なのになぜ喜んでいるのか…そう考えていると、画面内のペドロ・ミゲルがキックに成功。この瞬間、カタールのベスト4進出が決まった。
というのも、先に歓声を上げた人は、パブリックビューイングより先にラジオなど別の手段で勝利の情報を手にしたからだ。
だからか、画面内のペドロ・ミゲルが決めた瞬間も多少の歓声は聞こえたが、“フライング”もあってその歓喜具合は少し控えめだった。はやる気持ちは理解するが、せめて画面内で決着が着くまでは喜びを抑えてもらいたかったところだ。
なお、準々決勝が終了してベスト4は韓国、ヨルダン、イラン、カタールに決定した。
準決勝では、韓国とヨルダンが7日にアフメド・ビン・アリ・スタジアム、イランとカタールが8日にアル・トゥマーマ・スタジアムで対戦する予定だ。
(文・写真=姜 亨起/ピッチコミュニケーションズ)
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