天安のキャンプ地であるタイ・チョンブリーで本紙『スポーツソウル』の取材に応じたキム・チャンスの顔は、ぎこちなさとときめきが同時ににじみ出ていた。
「どのような役割を果たさなければならないか知っていたが、実際に経験したことはない。プレイングコーチとして来る前にヒョン(兄さん)たちにたくさん聞いて、アドバイスをしてもらった」
選手とコーチを兼任する。つまり、今までよりもやるべきことが増えたということだ。練習前には早くグラウンドに出てセッティングをし、練習後は片付けも引き受ける。監督の話を選手たちがしっかり理解できたかどうか、経験を基にしたアドバイスもしている。
「監督やコーチがする話の裏で、自分が経験したことを少しずつ助言している。周りからは“その役割は苦労するかもしれない”という話も聞いた。自分の役割は完全なコーチでもないし、選手でもない。どちらかに偏ってはいけない。双方でバランス良く、架け橋の役割を果たさなければならない」
天安を率いるパク・ナムヨル監督は、「選手たちと直接話し合える部分が良い。(キム・)チャンスが上手くやっているし、私もそういう点をお願いして要求している」とコーチ兼任のベテランを評価した。
キム・チャンスがこれまで歩んだ道を振り返ると、華やかなキャリアが見えてくる。
2004年に蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)でプロデビューしたキム・チャンスは、大田(テジョン)シチズン(現・大田ハナシチズン)、釜山(プサン)アイパークを渡り歩いた後、Jリーグの柏レイソルで2013~2015年の3年間プレー。以降は全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータース、蔚山現代、光州(クァンジュ)FC、仁川(インチョン)ユナイテッドと経た。
この間、2012年ロンドン五輪にはU-23韓国代表のオーバーエイジとして出場し、銅メダル獲得に貢献。全北現代在籍時の2016年にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝、蔚山現代2期の2017年にはFAカップ優勝を経験した。
そして、仁川在籍時の昨シーズンにはKリーグ通算300試合出場達成という大記録も達成した。
今年でプロ19年目を迎えるキム・チャンスは現役生活の最後も見据えている。「ゆっくり下ろしている段階だ。仁川にいたときから少しずつ心の整理をしていた」というキム・チャンスは、「自分の基準では昨年も少し大変だったが、いきなり下ろすとダメージが大きいと思う」と話す。
指導者としての第一歩を踏み出すプレイングコーチは、後輩たちが正しい方向に進むことを願っている。“基本”を強調したキム・チャンスは「プロは上手くやってこそ生き残れる場所だ。アップダウンではなく、地道に自身のレベルを高く保つことが重要だ」とアドバイスした。
(文=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
■【インタビュー】韓国に渡った江坂任の誓い「天野さんとの比較は当然」