キム・ジンスは当時、左サイドで前線にパスを放った直後、険しい表情で右太ももの裏をおさえた。
その後、プレーを再開することができず、チームメイトに「ボールをタッチラインの外に出してほしい」とジェスチャーした。
結局、キム・ジンスは右太ももの裏を気にした様子のまま、グラウンドを後にすることになった。なお、試合は全北現代が2-1で勝利し、決勝進出を決めている。
キム・ジンスの負傷は全北現代にとってはもちろん、韓国代表にとっても痛恨だ。
クラブと代表の両方で左サイドバックの主力を担う彼は、来る11月に開催されるカタールW杯本大会を約1か月半後に控えている。
キム・ジンスは2012年のプロデビューから現在まで、2度あったW杯出場のチャンスをいずれも“負傷”によって逃してきた。
新潟時代の2014年ブラジルW杯では、一度は韓国代表メンバーに正式に選ばれるも、大会直前の足首の負傷で離脱。続く2018年ロシアW杯も、開幕3カ月前に負った左ひざのじん帯損傷で落選を経験した。
現在の韓国サッカー界でトップレベルの左サイドバックと呼ばれるにもかかわらず、“夢の舞台”であるW杯への出場にはことごとく見放されてきた。だからこそ、今回のカタールW杯には誰よりも強い出場への思いを持っていた。
もっとも、今季のキム・ジンスはクラブと代表の両方で先発出場を続け、誰よりもハードなスケジュールをこなしてきた。
冬季開催のW杯の影響でリーグ戦が過密化されたことで、例年以上の強行日程を戦わなければならなかった。それだけ、キム・ジンスの負傷を懸念する声も大きかったが、開幕目前に望まぬ事態が起きてしまった。
試合後、ミックスゾーンで取材に応じたキム・ジンスに負傷具合を聞くと、「わからない。一応、明日の午前中に検査をしてみて、何かを申し上げることができるのではないか」と心配そうな表情で答えた。
そして、「(負傷当時は)交代で出なければならないと感じてグラウンドを出た。(負傷が)深刻かどうかは検査して見なければならないが、自分で感じる分にはそこまで深刻ではないと思っている」と続けた。
取材中にはどこか虚脱感漂う笑みも浮かべていたキム・ジンスは、「若い頃は筋肉を怪我することはなかったのに、最近は筋肉が大変だったようだ。自分なりに管理を一生懸命していたし、監督も配慮してくれたが、途中交代となり気が重かった。それでもチームが勝利して良かった」とし、「今は非常に重要な時期だ。何事もなく、筋肉が固まった程度で終わり、次の試合にも出場したい」と前を向いた。
キム・ジンスは試合当時、負傷交代後もベンチで選手を励ましながらリーダーの役割を果たしていた。
これについては、「今は自分たちの雰囲気を作り出せていると思う。自分が試合に出場しているときも、外でプレーできない選手が応援してくれて、検診してくれる姿を見てきた。自分はキャプテンではないが、(負傷中の正キャプテンであるホン・)ジョンホさんの代わりを引き受けながら、少しでも力になりたかった」と語った。
最後にキム・ジンスは、「チームの雰囲気が非常に良い。心配なのは蔚山現代よりも日程がタイトなことだ。どれだけ回復するかがカギを握るが、選手たちは“やり遂げよう”という意志が大きい。次の試合が楽しみだ」と伝え笑顔を見せた。
なお、全北現代は来る8日のKリーグ1第35節で蔚山現代と再び対戦する予定だ。