あらゆる意味で興味深い対戦だ。
4月2日(日本時間)に行われたカタールW杯組み合わせ抽選会の結果、グループHには韓国、ポルトガル、ウルグアイ、ガーナの4カ国が入った。
ポルトガルは欧州の強豪であるものの、ポット1の国のなかでは比較的勝算のある相手という評価が多い。実際、ポルトガルはプレーオフを通じて本大会に進出した国であり、ポット1の国のなかではFIFAランキングが最も低い8位だ。
韓国は2002年日韓W杯グループステージで対戦して以来、ポルトガルとは実に20年ぶりの再戦となる。国際Aマッチでポルトガルと戦ったのは当時が最初で最後だ。世代別代表では何度か対戦経験があるものの、A代表では日韓W杯を最後に一度も対戦していない。
そして、日韓W杯当時にポルトガル代表として韓国と対戦し、0-1で敗れたこの試合限りで代表を引退したパウロ・ベント監督が、今回は韓国代表を率いて母国ポルトガルと激突する。
ベント監督はポルトガルのリスボンで生まれ、現役時代はヴィトーリア・ギマランイスやベンフィカ、スポルティングといった国内クラブや、スペインのオビエドなどで活躍した。ポルトガル代表としても、国際Aマッチ35試合の出場経験を誇る。
引退後には指導者に転身し、スポルティングでの監督経験を経て、2010年から2014年までポルトガル代表の監督を務めた。EURO 2012ではベスト4入りと健闘するも、2014年ブラジルW杯ではグループステージ敗退に終わり、大会終了後に監督の座を退いた。
そんなベント監督にとって、今回のポルトガルとの対戦は偶然の重なった戦いとなる。というのも、現在のポルトガルを率いるフェルナンド・サントス監督は、ベント監督が選手の晩年を過ごしたスポルティングで指揮を執っていたからだ。
普段は無愛想なインタビューで知られるベント監督も、「母国ポルトガルを相手にするのは初めてのことだ。これまでとは違う感覚がある」と感傷的に語っていた。それだけ今回の対戦が特別だという意味だ。
“背番号7“を背負うエース同士の対決も見どころだ。ポルトガルにはFWクリスティアーノ・ロナウド(37、マンチェスター・ユナイテッド)、韓国にはFWソン・フンミン(29)がいる。2人とも、世界のサッカー界を代表する”7番“の選手だ。
ロナウドはドリブラーだったルーキー時代から、年齢を重ねるにつれて徐々にストライカーのスタイルへと変身した。それでも、ソン・フンミンが幼い頃に夢見たロールモデルであることに変わりはない。
ソン・フンミンはかつての全盛期のロナウドのように、サイドから中央に切れ込んで強力なシュートを放ち、ゴールを決める能力に長けている。爆発的なスピードはもちろん、カウンターから着実に得点を挙げる能力も類似している。
名声だけで見ればロナウドが上であることは当然だが、直近の実力が評価基準となるならばソン・フンミンも後れを取らない。ソン・フンミンはすでにワールドクラスのFWとして認められている。
ソン・フンミンと同じくイングランド・プレミアリーグでプレーするFWファン・ヒチャン(26、ウォルヴァーハンプトン)も、ポルトガルのチームメイトと敵として顔を合わせる。
ウォルヴァーハンプトンにはMFジョアン・モウティーニョ(35)、GKジョゼ・サー(29)、FWフランシスコ・トリンコン(22)、MFルベン・ネヴェス(25)といったポルトガル代表選手がそろっている。ファン・ヒチャンにとっても特別なW杯の舞台となることは間違いない。
なお、韓国はカタールW杯グループステージで11月24日(日本時間)にウルグアイ、同月28日にガーナ、12月2日にポルトガルと対戦する。会場はいずれもアル・ラーヤンのエデュケーション・シティ・スタジアムで開催される予定だ。
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