新型コロナウイルス集団感染の事態に巻き込まれた韓国Kリーグ1(1部)の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)が、紆余曲折の末にアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフを勝ち抜いた。
【動画】蔚山現代の元浦和レオナルド、絶妙トラップからの韓国初ゴール
蔚山現代は3月15日、ホームの蔚山文殊サッカー競技場でポートFC(タイ)とのACLプレーオフを戦った。
チーム内での感染者続出、負傷者発生でまともにメンバーが組めず、本職ウィングの元韓国代表FWユン・イルロク(30)を左サイドバック、本職中盤のMFキム・ソンジュン(33)をセンターバックで起用するなど、スクランブルの状態ではあったが、終わってみれば3-0で快勝。
これにより、来る4月15日から5月1日に行われるグループステージへの進出が決定。川崎フロンターレ(日本)、広州FC(中国)、ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)と同じグループIに入る。
問題は、来る20日に行われる第6節での浦項(ポハン)スティーラースとの“東海岸ダービー”だ。
蔚山現代は去る11日に第5節FCソウル戦が行われた翌日、新型コロナ検査で陽性者が多数発覚した。12~13日にかけてコーチ陣と選手合計20人近くが感染判定を受けたという。
彼らは浦項戦を1~2日後に控えた18~19日に隔離解除される。そのため、蔚山現代はひとまず浦項戦の試合開催要件を満たすことはできる。
Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟は今年1月の2022年第1次理事会で、シーズン中に感染者が発覚した場合のリーグ運営案について審議し、議決した。
当時の審議では、シーズン中の試合は1チーム当たり試合出場可能人数が最低17人(GK1人含む)以上であり、▲新型コロナ検査の結果陰性、▲無症状、▲隔離非対象の要件を満たせば、延期せずに行われることが決まった。
このため、“東海岸ダービー”が理事会の議決要件を満たし、試合を開催できるにしても、懸念の声が存在する。選手が隔離を終えて陰性判定を受けたとしても、感染力の有無を断定することはできないからだ。
また、仮に陰性判定を受けたとしても、潜伏期間の状態で試合に出場する可能性もある。実際、蔚山現代ではACLプレーオフの前後で、陰性と判定された選手3~4人が喉の痛みななど、新型コロナ変異株であるオミクロン株の症状を訴えたという。
こうなると、蔚山現代を相手にする浦項としても負担を抱くしかない。
理事会の議決事項には、「シーズン中の突発的な状況で試合日程の調整が避けられない場合、韓国プロサッカー連盟の職権で日程を調整する」と明示されている。
韓国プロサッカー連盟が自主的に蔚山現代の状況の深刻さを確認した後、蔚山現代と浦項の両チームの選手を保護する観点から、試合日程を調整する余地があるということだ。
韓国プロサッカー連盟のパク・ソンギュン事務総長は、本紙『スポーツソウル』の電話取材に対し「基本的なマニュアルはあるが、両チームにとって何が合理的であるかを決めなければならない。重要なことは、“原則”に反しない確認の過程が必要であるということだ」と伝えた。
韓国プロサッカー連盟が“原則”を言及した理由は、女子プロバレーのVリーグ女子部で発生した問題が背景にある。
Vリーグ女子部では最近、複数チームでの新型コロナ感染者発生によってシーズンが「26日間」中断された。これは韓国バレーボール連盟(KOVO)と男女部全14チームによる新型コロナ関連のリーグ縮小運営マニュアルにおいて、「2段階(正規リーグ6ラウンドでシーズン終了。ポストシーズン中止)」に当たる。
ところが、KOVOはこの“原則”を覆し、「ファンサービス」を理由にポストシーズンの開催を強行した。これにより、現在は外部から多くの批判が飛んでいる状態だ。
ただ、来る“東海岸ダービー”は女子プロバレーと状況が異なる。特定の試合を前に集団感染が発生し、追加感染の脅威も存在しているためだ。
蔚山現代と対戦したFCソウルも、試合後に新型コロナ感染者が発覚した。FCソウルは、来る19日にホームのソウルワールドカップ競技場で対戦する済州(チェジュ)ユナイテッドに試合延期を要請したという。
韓国プロサッカー連盟はもちろんのこと、蔚山現代と浦項が現状を冷静に分析し、どのような決定を下すかに関心が集まっている。
前へ
次へ