「クラブがボールボーイの遅延行為を事実上黙認した点を考慮した」
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Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟は12月21日、第22回賞罰委員会を実施。江原(カンウォン)FCに制裁金3000万ウォン(日本円=約300万円)を科した。
連盟は、去る12日に江陵(カンヌン)総合運動場で行われた江原FCと大田(テジョン)ハナシチズンによる昇降格プレーオフ第2戦で、ホームの江原FC側のボールボーイが遅延行為をした問題と関連し、比較的高額の罰金懲戒を下した。
今季Kリーグ1(1部)を12チーム中11位で終えた江原FCは、Kリーグ2(2部)のプレーオフを勝ち抜いた大田に対し、アウェーでの昇降格プレーオフ第1戦で0-1と敗れていた。ただ、ホームでの第2戦で4-1と大勝し、2戦合計スコア4-2と逆転での1部残留を果たした。
ところが、そんな江原FCの残留決定に水を差すような場面が試合中に見られた。江原FCが2戦合計3-2と逆転に成功した後半途中、ボールボーイを務めた江原FCユースの江陵第一高校の選手たちが、大田ボールのスローインの際、ボールを要求する大田の選手と反対方向にボールを投げたり、自分の前をボールが通り過ぎても座ったまま拾いに行かなかったりするなど、大田に対し露骨な遅延行為を行ったのだ。
これには大田側も激怒。イ・ミンソン監督はもちろん、選手たちも強く抗議した。チェ・ユンギョム試合監督官も注意を与えたほどだ。ただ、その後もボールボーイの態度が直らなかったことから、江原FC側が遅れてボールボーイを交代する事態となっていた。
さらには試合直後、江原FCのイ・ヨンピョ代表取締役が『江原道民日報』とのインタビューで「(ボールボーイの遅延行為は)ホーム&アウェーで試合を行う欧州ではすべての国で起きていること。自然な現象だ」と発言したことも問題視された。リーグの存立基盤や相手を無視する発言だと解釈されたのだ。
前述の通り、今回の試合では江原FCユースの選手がボールボーイを務めていた。イ・ヨンピョ代表取締役の発言は、ユース選手にフェアプレーに関する誤った認識を植え付けかねないという点で大きく批判された。
大田ファンの一部には、試合後に江陵第一高校に直接抗議の電話をかけた者もいるという。学校関係者はもちろん、当時ボールボーイを務めたA君など、すべての関係者が苦しい立場に追い込まれた。結局、イ・ヨンピョ代表取締役は試合から2日後の14日に謝罪文を発表した。
大田はこの日、賞罰委員会を前に「ホームチームのボールボーイによるこうした行為は、誰からの指示もなくあれだけ組織的で、繰り返し行われることはないと判断される。徹底した真相究明と措置が必要だ」という立場表明をした。
ただ、連盟のイ・ジョングォン広報チーム長は賞罰委員会後、取材陣に対し「江原FCが明示的にボールボーイに(遅延行為などを)指示した証拠は見つからなかった」と説明。それでも、「試合監督官の指示を履行するために必要な措置を(江原FCが)執らず、ボールボーイの行為を黙認した点は映像などから確認できた」と伝えた。
また、江原FCに3000万ウォンの制裁金を科したことについては、「これまでボールボーイの時間遅延と関連して懲戒した事例はなかった。ただ、今回は事態の深刻さが大きかっただけに、試合時間の遅延に関する大小の懲戒事例を総合して科した」と述べた。
過去に江原FCと同様の制裁金が科された事例では、2019年の安山(アンサン)グリナースがある。
安山は同年3月3日にホームで行われた大田とのKリーグ2開幕戦で、試合後に社長や団長をはじめ多くの観客が審判を押しのけ、暴言や乱暴行為をしたことと関連し、スタジアムの安全や秩序の維持が不十分だったことから、賞罰委員会から2500万ウォン(約250万円)の制裁金が科されたことがある。
イ広報チーム長は「今回の賞罰委では懲戒処分のほか、Kリーグ全体でユースがボールボーイを務めているだけに、さまざまな改善教育が必要だという話も出た」と述べた。
なお、昇降格プレーオフ第2戦で大田のファンが江原FCのボールボーイに向かって数本のペットボトルを投げつけたことに関連しては、大田に200万ウォン(約20万円)が科された。
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