観客席に“ラブドール”を設置したKリーグクラブに過去最高の制裁金…厳しい懲戒のワケ

2020年05月21日 サッカー #Kリーグ

“ラブドール事件”を巻き起こした韓国KリーグのFCソウルが、韓国プロサッカー連盟から制裁金としては過去最高タイとなる懲戒を受けた。

韓国プロサッカー連盟は5月20日に賞罰委員会を開き、FCソウルの懲戒を発表した。

【注目】韓国Kリーグ…ラブドール事件の発端は主管団体にあった?

“ラブドール事件”とは、5月17日にソウルワールドカップ競技場で行われたKリーグ1(1部)第2節のFCソウル対光州FC戦で、観客席にアダルトグッズであるラブドールが多数設置された珍事を指す。

賞罰委員会は賞罰規定の類型別懲戒基準第10条の規定により、FCソウルがKリーグの名誉を深刻に失墜させたと判断し、制裁金1億ウォン(約1000万円)を科した。

八百長と同額の制裁金…厳しい懲戒の理由

FCソウルの今回の懲戒は、2016年に全北現代が審判買収事件を起こしたときの制裁金と同水準の懲戒(1億ウォン)といえる。全北現代は当時、勝ち点9が削減される懲戒まで受けたが、それを踏まえても今回の懲戒は厳しいといえる。

5月17日、FCソウルの試合で観客席に設置されたラブドール

記者会見に参加したイ・ジョングォン広報・法務チーム長は、「直接的に比較した事案ではない。性格は大きく異なる。八百長はスポーツの本質を害するものだ。八百長の場合、制裁金もあったが、勝ち点削減も行われた。今回の事件は国民的な共感、特に性商品化に関する点でさらに重大だった」と背景を説明した。

ただし賞罰委員会は、今回の事件をマーケティング規定19条(禁止広告物)違反として見ることはできないという結論を下した。

韓国プロサッカー連盟は当初、ラブドールを設置した外部業者が商品を通じてブランドを宣伝した点を考慮し、マーケティング規定に違反するかどうかを検討するとしていた。マーケティング規定に違反した場合、勝ち点削減の懲戒まで行われる可能性があったが、FCソウルはひとまず最悪の状況からは逃れた。

前出のイチーム長は、「広告物は現行のマーケティング規定内にあるということを意味する。列挙規定があるが、現在の規定では適用が難しいと判断した」とし、Aボードや電光掲示板を通じて公開されたわけではないため、適用が難しいと強調した。

代わりに「広告類似行為を防ぐ規定を入念に調べて補完しなければならないという意見があった」と、規定の補完を通じた再発防止を約束した。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)

Kリーグが世界的に注目されたなかでの事件

賞罰委員会が過去最高の制裁金を科すほど厳しい懲戒を下した背景には、事件の波及力がある。

今回の事件は、韓国内はもとより、海外でも集中的に報道された。イギリス公営放送のBBCをはじめ、世界中のメディアから注目を集めた。新型コロナウイルスの影響で各国のリーグが中断、開幕延期されていたため、Kリーグへの関心を高く、そんななかで起きた事件だけに波及力が大きかった。

世界的にKリーグのブランド価値が毀損されたという点を否定することは難しい。単にFCソウルだけの問題ではなく、Kリーグ全体の恥といえる問題であった。

イチーム長は、「一般常識とあまりにかけ離れた事態が発生した。その点を大きく考慮した。最近は社会的な認識や世論の目が厳しくなったが、FCソウルはこの事案を簡単に考えていたため、厳しい懲戒を決定した」と述べた。

Kリーグは今回の“ラブドール事件”によって、ファン獲得にも悪影響を及ぼすのではないかと懸念している。

女性ファンの獲得に悪影響

Kリーグは2018年ジャカルタ・アジア大会後、女性ファンの攻略に力を入れている。

10~20代女性の場合、購買力とファン層が強く興行の大きな助けになる。韓国プロ野球も若い女性が注目したことで、興行に火がついた。そのため韓国プロサッカー連盟はもちろん、各クラブは女性ファンを獲得するためにさまざまなコンテンツを開発し、マーケティング領域を拡大している。

ところが今回の事件は、興行においても水を差す悪い材料となった。

ラブドールは、当然ながら女性が拒否感を引き起こすアダルトグッズだ。さらに子供や青少年に不適切な認識を与える恐れもある。アダルトグッズが設置されたKリーグの試合会場を歓迎する親はいない。

イチーム長は、「Kリーグは全国民に愛されなければならないスポーツだ。そのためには女性、家族単位のファンの視線を考えなければならない。今回の事態のために、その部分が準備されていないリーグというイメージが発生した。そういった意味でも今回の問題は深刻だと思う」と説明した。

過去最高となる制裁金1億ウォンを科せられたFCソウル。しかしKリーグが受けたダメージは、それ以上に大きいのかもしれない。

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