韓国代表初招集のFWチョン・サンビン(19、水原三星ブルーウィングス)が、A代表デビュー戦でデビューゴールを炸裂させた。
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2002年生まれのチョン・サンビンは水原三星(スウォン・サムスン)U-18ユースの梅灘(メタン)高校出身。2019年にはブラジルで行われたU-17ワールドカップに出場したU-17韓国代表に選ばれ、グループステージのフランス戦ではゴールも決めている。
その後、翌2020年にトップチームと準プロ契約を結ぶと、同年にカタールで集中開催されたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に帯同。グループステージの広州恒大戦では高校生としてKリーグ勢で史上初めて出場を果たし、国内で多くの注目を集めた。
そして今シーズン、チョン・サンビンは水原三星とプロ契約を締結。すると、プロデビュー戦となったKリーグ第5節の浦項(ポハン)スティーラースでデビューゴールを挙げると、以降も蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)や全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースといった強豪相手に得点。
ここまで13試合に出場して4ゴール1アシストと、ルーキーらしからぬ活躍で存在感を誇示している。
驚異的なスピードでDFラインを抜け出し、個人技を駆使してゴールネットを揺らす姿から付けられた別名は“K-エムバペ(韓国版エムバペ)”。こうした活躍から、チョン・サンビンは2022年カタールW杯アジア2次予選を戦う韓国代表メンバーにサプライズ選出された。
代表率いるパウロ・ベント監督も、「チョン・サンビンはスピードに優れるだけでなく、勤勉に動き回り守備でも自分の役割を果たす。戦術理解度も優れている」とルーキーを高く評価している。
そんなチョン・サンビンは、去る6月5日のトルクメニスタン戦こそメンバー23人から外れたものの、9日のスリランカ戦では念願のベンチ入り。そして後半26分、FWキム・シンウク(33、上海申花)との交代で初めて代表のピッチに足を踏み入れた。
すると、途中出場からわずか5分でデビューゴールを生み出した。後半31分、ゴール前のこぼれ球をMFイ・ドンギョン(23、蔚山現代)が左足で振り抜くと、ペナルティエリア内にいたチョン・サンビンが足に当ててシュートコースを変え、そのままゴールネットを揺らしたのだ。
チョン・サンビンのゴールは韓国代表歴代8位(19歳75日)のAマッチ最年少得点記録となり、歴代34番目のAマッチデビューゴールとなった。
A代表デビュー戦でのゴールは、FWムン・ソンミン(29、金泉尚武)が2018年5月のホンジュラスとの国際親善試合で得点して以来、約3年ぶりのことだ。
試合後、チョン・サンビンは「とてもぎこちなく、緊張もしたが、先輩たちがたくさん助けてくれた。だから、緊張しすぎずにデビューゴールを決められた」とし、「自分でもびっくりした。運良くゴールできた」と振り返った。
チョン・サンビンは今回、自身のロールモデルに挙げるFWソン・フンミン(28、トッテナム)と代表生活を過ごしている。スリランカ戦はソン・フンミンがベンチで休んだため同じピッチに立つことはできなかったが、普段の練習から偉大な先輩の一挙手一投足を見ているはずだ。
「自分がトルクメニスタン戦でベンチに入れなかったとき、(ソン・フンミン先輩が)“失望するな。チャンスは必ず来る”と励ましてくれた。これからより多くの試合でプレーし、ゴールを決めることができると助言してくれた」と明かすチョン・サンビン。
「(韓国代表でプレーする)重みがないと言ったら嘘になる。プレッシャーもあった。でも、時間が経つとともにヒョン(兄さん)たちが助けてくれて、(負担が)軽くなった」と、先輩のサポートが支えになったことを伝えた。
初めての国際Aマッチは20分程度の出場時間に終わった。チョン・サンビンは「選手としてプレーしたいのは当然」としつつも、「与えられた時間が1分であれ5分であれ、その中で最善を尽くすことが選手としての心構えだ」とし、「どんなに少ない時間でも最善を尽くすことだけを考えている。機会がたくさんあれば良いが、機会をいただいたこと自体に感謝している」と強調する。
「(途中出場時は)緊張よりもワクワクが勝った。チームの助けにならなければならないという気持ちで臨んだ」と語ったチョン・サンビン。「ワールドカップに出場したい思いが強い。そのことを目標と考えている」と、今後の代表定着に向けて力強く意気込んだ。
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