“師匠”と2度目の別れだ。韓国代表FWソン・フンミン(28、トッテナム)が再び転機を迎える。
トッテナムは4月19日(日本時間)にジョゼ・モウリーニョ監督とコーチ陣の解任を発表した。去る2019年11月にマウリシオ・ポチェッティーノ前監督の後任として就任したモウリーニョは、1年5カ月にしてその座を降りることとなった。
ソン・フンミンがトッテナムで監督と離別するのは今回が2回目だ。
前監督のポチェッティーノに愛されたソン・フンミンは、世界的な名将モウリーニョとも悪くない愛称を見せた。モウリーニョはソン・フンミンを不動の主力として起用し、何度も彼のパフォーマンスを称賛してきた。
このため、ソン・フンミンはモウリーニョ解任発表後、自身のSNSで「今の自分の気持ちをすべて表現することはできない」と深い悔しさを示し、「一緒に仕事ができて嬉しかった。仕事が上手く行かなかったのは残念だが、ともにした時間に心から感謝している。幸運を祈る」と伝えた。
トッテナムは、下部組織のコーチを務めていたライアン・メイソンをひとまず今シーズン終了までの暫定監督に据えた。だが、来シーズン以降の新指揮官は未定だ。
複数の現地メディアは後任にライプツィヒのユリアン・ナーゲルスマン監督やバイエルン・ミュンヘンのハンジ・フリック監督、ドイツ代表元指揮官のユルゲン・クリンスマン監督らを有力候補に取り上げている。
監督が変わったからと言って、ソン・フンミンの立場に大きな変化が生まれることはない見通しだ。ソン・フンミンはトッテナムの攻撃をけん引するハリー・ケイン(27)とともに、絶対的な主力の座を維持する可能性が高い。
ただ、今シーズンに続き来シーズンもトッテナムがUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を逃すことになれば、話は変わる。
イギリスメディア『デイリー・エクスプレス』は最近、「トッテナムはCL出場権を獲得できなければソン・フンミンとケインを失う」と予測した。
トッテナムはここまでプレミアリーグで勝ち点50(14勝8分10敗)とし、20チーム中7位につけている。CL出場権内の4位チェルシーとはわずかに勝ち点5差だ。
今後6試合を残しているだけに、出場権獲得が不可能な差ではないが、直近の不振や監督交代など騒がしい雰囲気を考慮すれば、巻き返しは容易ではない。
こうした点からも、モウリーニョとの別れはソン・フンミンのキャリアに大きな変曲点として作用する可能性がある。
欧州の舞台で自身の価値を高めたソン・フンミンは、ビッグクラブからのラブコールを絶えず受けてきた。今月初めにも、ドイツ・ブンデスリーガの名門バイエルンがソン・フンミンの獲得を望んでいるという報道も出たほどだ。
2015年夏にプレミアリーグ参戦を果たしたソン・フンミンは、今年でトッテナム6年目を迎える。
1992年生まれの彼は来年にも30代に突入する。サッカー選手として全盛期を迎える時期だ。今シーズンすべての公式戦44試合で19ゴール16アシストを叩き出している記録がこれを裏付けている。言い換えれば、新たな挑戦をするには今が最適というわけだ。
トッテナムのダニエル・レヴィ会長は昨年末、ソン・フンミンに週給20万ポンド(日本円=約3010万円)水準の契約延長オファーを行ったが、新型コロナウイルス感染症の影響による交渉が一時中断された。以後、交渉に進展があったという話は聞かない。トッテナムとソン・フンミンの契約は2023年6月までだ。
ソン・フンミンはリーグ戦や欧州カップ戦でのトロフィー獲得を夢見ている。ビッグクラブへの移籍が優勝の可能性に近づくのは当然のことだ。
トッテナムが選択した変化と自分自身の夢。岐路に立たされたソン・フンミンの悩みが始まった。
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