世界122の賞を受賞した韓国映画『パラサイト』、日本でもヒットが期待できる理由

2020年01月14日 映画

韓国の巨匠ポン・ジュノ監督の最新作『パラサイト 半地下の家族』が、1月10日から日本全国で公開された。

韓国で『パラサイト』は2019年5月に公開され、観客動員数1000万人を突破した。

映画ファンから絶大な信頼を得ているポン・ジュノ監督の最新作であることもさることながら、“カンヌ効果” が加わった結果であるといえるだろう。

『パラサイト』は、2019年の第72回カンヌ国際映画祭長編コンペティション部門で最高賞パルムドールに輝いたことを皮切りに、世界各国でこれまで122の賞を受賞し、賞賛の嵐を巻き起こしている。

【関連】カンヌ最高賞に輝くポン・ジュノ監督『パラサイト』、何が評価されたか

先日開催された“アカデミー賞の前哨戦”とされる第77回ゴールデン・グローブ賞では、外国語映画賞を受賞して再び映画業界を騒がせた。

フランスやアメリカでも高評価

2019年6月に公開されたフランスでは、観客動員数170万人を突破。アメリカでは2019年の外国映画興行収入ランキングで1位だったというのだから、芸術性と娯楽性の両方を兼ね備えたことに疑いの余地はない。

映画『パラサイト』の出演者たち

アメリカ・メディアの『ハリウッドレポーター』などは「アカデミー賞の歴史を変えるか!?」と、アカデミー賞の可能性にも期待しているようだ。

実際に韓国映画振興委員会は、来る2月に開催される第92回アカデミー賞の国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の韓国代表作品として『パラサイト』を選定している。

今年の国際長編映画の大本命との声もあり、もし『パラサイト』が受賞すれば韓国映画史上初の快挙となるため、多くの関係者が動向を注視している状況だ。

日本では全国公開に先駆けて特別先行公開が行われたが、満席続きだったと聞く。

ポン・ジュノ監督作品といえば、『殺人の追憶』『母なる証明』『グエムル-漢江の怪物-』『スノーピアサー』などが有名だ。

いずれも鋭い洞察力を下地にしつつ、ユーモアや風刺もあって独創的。『パラサイト』はそれに加えて世界的に共感できる普遍的なテーマを巧みに描いているだけに、日本での興行成績にも期待したいところだ。

ポン・ジュノ監督

「ネタバレしないでください」

ちなみに昨年のカンヌ国際映画祭では、公式上映前にポン・ジュノ監督が直々に作成したネタバレ厳禁を乞うメッセージが配布された。

フランスでの公開時には「ネタバレしたら殺す」という穏やかではないコピーのポスターが話題になり、日本のプロモーションビデオに至っては、ポン監督が自ら日本語で「ネタバレしないでください」と呼びかけていた。

『パラサイト』は1分たりとも無駄なシーンがなく、最後まで見逃せない作品だ。特にチュ・ウシク演じる長男ギウが最後に言い放つセリフを聞いた瞬間、頭を殴られたかのような感覚に陥るかもしれない。

日本の映画ファンもネタバレに注意しつつ、ポン・ジュノ監督が切り開いた想像を絶する物語をぜひ楽しんでほしい。

(文=慎 武宏)

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