第72回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、ポン・ジュノ監督の『パラサイト』が審査委員の満場一致で最高賞のパルムドールを受賞した。
昨年は是枝裕和監督の『万引き家族』が同賞を受賞しており、2年連続でアジア作品が選ばれたことに加え、韓国映画史上初めての快挙となる。
今回、コンペティション部門には過去に2度のパルムドール受賞を誇るケン・ローチ監督の『Sorry We Missed You』(原題)、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(原題)など、錚々たる監督の最新作が披露された。
そんな中、『パラサイト』は洋の東西を問わず通用する家族や、所得の二極化といったテーマを、ポン監督特有の愉快かつ細かい演出で描き上げ、やや保守的な雰囲気のカンヌを魅了。
「お金持ちと貧乏層の話も、家族ドラマであるからこそ世界できっと理解されると思った」というポン監督のコメント通り、世界の人々に共感を呼んだ様子だ。
『パラサイト』では『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』など、ポン監督の過去作を思い出させるシーンも盛り込まれているため、“ポン・ジュノの総集編”とも言われている。
海外の映画メディア「IndieWire」は、「ポン・ジュノの最高作だ。過去作を全て合わせて資本主義社会で一緒に生きていくことへの恐怖を、面白おかしく、痛いほど明暗が交差するパッケージとして見せてくれる」と絶賛した。
これまで多くのポン監督作品に出演し、印象的な演技を披露した俳優ソン・ガンホもその存在感を発揮している。
今回、出演分量は少なめだが、ユーモアの効いた重みのある演技力で作品の柱になっており、カンヌでの公式上映の際は彼の演技に観客から笑いや拍手が起こった。
海外の観客に違和感なく受け入れられた要因として、ソン・ガンホの役割も大きかったという分析もある。
しっかりとした作りでカンヌを魅了した『パラサイト』。
ポン監督ワールドが好きなファンにとって、一般公開が待ち遠しい作品になりそうだ。
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