同じ“薬物騒動”でも異なる点とは?イ・ソンギュンとユ・アインのケースをキーワードで深堀り

2023年11月01日 話題

イ・ソンギュンとユ・アイン。今年、麻薬で韓国全土を騒がせた俳優のことだ。

【画像】拘束免れ…ペットボトルを投げつけられるユ・アイン

「良い大人」のイメージのイ・ソンギュンと「青春のアイコン」だったユ・アインは、ともに韓国メディア産業内で“主人公”を任されるトップクラスの俳優だった。

2人が出演する作品は、製作費だけでも合計900億ウォン(約100億円)を上回るものと推定される。そのため、たった2つの麻薬事件が、韓国映画産業の根幹を揺るがすほどの強大な影響力を及ぼしている。

“トップ俳優の麻薬事件”という共通点はあるものの、よく見ると似ているようで異なる点も多い。今回、キーワードで2人の共通点と相違点を探ってみた。

発覚の経緯

麻薬捜査は概して情報提供に依存するもので、ドラマや映画のように投薬現場を急襲するケースは多くないのだ。また、麻薬犯罪は情報提供から1人を捕まると、次々と芋づる式に捕まることも多い。

ユ・アイン
(写真提供=OSEN)

そのため、検察と警察は麻薬犯罪において、捕まえた人物が他人の情報を陳述すれば減刑したりすることができる「リニエンシー」などの制度を積極的に活用する。これを用いて他の関連人物をあぶり出し、供給元まで捕まえる。

これらを踏まえた上で、ユ・アインのケースは少し変わった形で捜査が始まったと言える。ユ・アインは、食品医薬品安全処が麻薬類統合管理システムで異常兆候を見せた51人を警察に捜査依頼したことで捕まった。

当初、食品医薬品安全処が警察に依頼した人物は“オム・ホンシク”だった。これはユ・アインの本名で、食品医薬品安全処はユ・アインだということを知らなかったそうだ。その後、警察の捜査により2021年1月4日から12月23日頃までの約1年間、73回も投薬していたことが確認された。

一方のイ・ソンギュンは比較的一般的だ。仁川(インチョン)警察庁麻薬捜査係がソウルの繁華街の某遊興施設で麻薬が流通しているという情報を受け、これを捜査していたところ、女性室長を検挙した。この過程でイ・ソンギュンの存在が発覚したわけだ。警察はイ・ソンギュンの容疑を確信し、彼を被疑者の身分へと切り替えた。

初回取り調べ

また、麻薬犯罪は概して2回の調査を経る。最初は試薬検査を、2回目は正式調査だ。試薬検査は毛髪および体毛を採取し、簡易キットを利用した尿検査を実行する。だいたい1時間前後で終わる。

そして正式調査は、採取した毛髪、体毛を国立科学捜査研究院に提出し、精密検査を行うというもの。2週間以上かかる検査を通じて、直近1年間の麻薬投薬の有無、回数、程度、種類まで確認できる。

ただ、ユ・アインは試薬検査目的で警察には召喚されなかった。というのも、2月5日に知人とアメリカ旅行を終えて仁川国際空港に入った際、その場で捕まったためだ。警察は入国と同時に麻薬検査を実施し、出国禁止も下した。当時採取した体毛と毛髪を受け取り、国立科学捜査研究院に提出したのだが、しっかりと大麻の陽性反応が出た。

イ・ソンギュン
(写真提供=OSEN)イ・ソンギュン

続いてイ・ソンギュンは10月28日16時30分頃、仁川論峴(ノンヒョン)警察署に出頭し、予定通りに取り調べを受けた。3時間以上に及ぶと予想されたが、蓋を開けてみると1時間20分ほどが経過した5時55分を過ぎに調査を終えた。署から出てきたイ・ソンギュンは、フォレンジック(デジタルデバイスに記録された情報の回収や分析調査)のために携帯電話を提出したことや、警察が要求した検査に協力的に応じたと明らかにした。

ユ・アインはドタキャン

先述の試薬検査後、警察は精密検査の結果が出る前に正式調査を行う。というのも、精密検査が出る前に陳述を確保するためだ。容疑者はここで初の強力な取り調べを受ける。時には10時間を超えることもある。

ユ・アインは芸能人史上、初めて予定された捜査を“ノーショー”(予約して現れないこと)、いわゆるドタキャンしたことでも話題に。当初、3月24日に出頭予定だったユ・アインは非公式を要求したが、マスコミに出頭日が明かされたことで、警察署の近くまで来て調査に応じなかった。その後、27日9時27分頃、“サプライズ出頭”したのだった。この日、約12時間にわたる厳しい調査を受けたユ・アインは、疲れた顔で取材陣の前に出てきて謝罪の言葉を伝えた。

一方のイ・ソンギュンは、11月4日13時頃から正式調査を受けることが分かっている。該当日は警察とイ・ソンギュンの弁護人が協議して決めた日だ。ユ・アインがノーショー騒動でマスコミ、世間から袋叩きに遭ったため、いくら取材陣が多かったとしても予定通り行われる見通しだ。イ・ソンギュンもかなり強目の調査を受けるものと予想される。

トップスターだけに余波も大きく…

最後に、イ・ソンギュンとユ・アインは韓国トップクラスの俳優という点で、出演作品が非常に多い。疑惑発覚前に公開を控えていた作品は、ユ・アインが3本、イ・ソンギュンが2本だ。

ユ・アインはNetflix映画『勝負』『終末のフール』『ハイタッチ』で、それぞれ約150億ウォン(約18億円)、約300億ウォン(約33億円)、約200億ウォン(約22億円)が投入された大作だった。また、Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』シーズン2は、撮影直前に麻薬と関わっていたことが知られ、俳優キム・ソンチョルと交替することとなった。

そしてイ・ソンギュンは、約200億ウォンの『脱出:プロジェクトサイレンス』、約90億ウォンの『幸せの国』と2作品の公開が控えていた。ほかにもメインキャストとして出演予定だったドラマ『ノー・ウェイ・アウト』からの降板も決定。イ・ソンギュンの代役としては、映画『最後まで行く』で共演した俳優チョ・ジヌンが取り上げられている。

ユ・アイン、イ・ソンギュンのほかにも、BIGBANGのG-DRAGON、元YGエンターテインメント練習生ハン・ソヒなど、薬物疑惑が続々と発覚している韓国芸能界。今回の特大スキャンダルはどこまで行くのか、“最後”まで見守りたい。

◇ユ・アイン プロフィール

1986年10月6日生まれ。韓国・大邱(テグ)出身。2003年のドラマ『四捨五入』でAraの恋人役を演じ一躍有名になる。デビューから1年でファンミーティングが開催されるほど異例の速さで人気を高めるが、芸能活動を一時休止。2006年から活動を再開し、様々なドラマや映画で助演を務める。2010年のドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』で強い存在感を発揮し、ドラマ『ファッション王』『チャン・オクチョン』『密会』、映画『ワンドゥギ』『ベテラン』『王の運命 -歴史を変えた八日間-』『バーニング 劇場版』『#生きている』などの話題作に出演して活躍している。

◇イ・ソンギュン プロフィール

1975年3月2日生まれ。2001年、MBCのシチュエーションコメディ『恋人たち』(原題)でデビュー。2007年のドラマ『白い巨塔』韓国版で正義感の強い“チェ・ドンヨン(日本の里見脩二)役”を演じてブレイクし、『コーヒープリンス1号店』『パスタ~恋が出来るまで~』『ゴールデンタイム』『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』と数多くの人気ドラマに出演した。映画『僕の妻のすべて』『最後まで行く』『パラサイト 半地下の家族』などでも高い演技力を発揮。プライベートでは2009年5月に女優チョン・ヘジンと結婚しており、同年11月に長男が、2011年8月に次男が産まれている。

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