期待が大きかった。
「Wavveのキラーコンテンツ」という言葉も決して誇張ではなかった。韓国初のレズビアン恋愛バラエティという大胆な設定も話題性を高めた。放送開始から好意的な空気が流れ、注目が集まった。
しかし、残念ながらすぐに逆風が吹いた。
韓国の動画配信サービスWavveオリジナル『君の恋愛』(原題)は、放送開始早々に出演者に関するリスクに巻き込まれた。新しい顔ぶれのフレッシュな魅力は崩れ、出演者個人にまつわるスキャンダルが前面に出てしまった。
さらに、拒否感の強い「性の商品化」がテーマとして浮上し、非難の声が強まっている。
『君の恋愛』は、女性を愛する女性たちのリアルな恋愛を描いた番組だ。8人の女性たちが一堂に会し、それぞれの愛を探すというストーリーで、4月25日の初回配信直後から大きな関心を集めた。
レズビアンの恋愛を韓国で初めて真正面から扱った点が注目を集めた。これに先立ち、韓国初のゲイ恋愛リアリティ『ボクらの恋愛シェアハウス』が2シーズン連続で成功しただけに、期待も高まっていた。
予想通り、初回配信と同時に大きな話題となり、オンラインコミュニティやSNSは『君の恋愛』に関する書き込みであふれた。出演者7人のプロフィールも瞬く間に拡散された。
しかし注目が集まると、番組の暗い一面が明らかになった。出演者であるリウォンの過去の「脱ぐ配信」の活動歴が明るみに出たのだ。
事態はさらに拡大し、「レズビアンを装っているのではないか」という“偽の性的指向”疑惑も浮上。リウォンが配信者として活動していた当時、複数回にわたり男性とデートしていたという主張が出たのだ。
リウォンは配信者としての活動については認めた。2016年から約2年間、2021年から2022年3月までの4カ月、2024年2月から9月までの7カ月間、計3年間、成人向けコンテンツを配信していたと明かした。
一方、“偽の性的指向”疑惑については否定した。リウォンは「私は女性を愛する女性だ。中学生のときに自身の性的指向を自覚し、最初の交際も女性と2年6カ月間、真剣な関係を続けた。その後、自分自身を否定したくて、男女どちらとも交際したこともある」と説明した。
しかし、騒動は収まらなかった。
別の出演者ハンギョルが、リウォンに関する暴露を行ったのだ。ハンギョルは、リウォンから海外旅行に誘われたと明かし、「一線を越えた不適切な提案だった」と主張。性的な意図を含む提案と受け取られかねない内容だった。
これに対してリウォンは、「不適切な提案」だったという主張を全面的に否定した。単に食の好みが似ていたことから、一緒に旅行しようと軽く言った会話が誤解されたという趣旨だ。
リウォンは「私は過去に、誰もが非難しうるような仕事をしていたし、その出演者はまだ若くイメージが重要な時期だから、私と関わることを恐れたのかもしれない」と述べ、「その“海外旅行”という話も、撮影中に宿舎で、“食の好みが似てるからその国に行ってみたいね”と冗談交じりで交わした会話にすぎない」と反論した。
番組は出だしからつまずいた。配信されたばかりの『君の恋愛』は、「性の概念を超えた愛の物語」を目指したにもかかわらず、出演者の過去のスキャンダルや暴露合戦によって早くも歪み始めている。
話題性は得たが、それは典型的なノイズマーケティングに過ぎない。
これまでも、非芸能人を前面に出したバラエティ番組で出演者の検証不足による逆風が相次いでおり、徹底した出演者の審査を求める声が高まっていた。
『君の恋愛』の制作陣も、リウォンの騒動に関して「キャスティングの過程で、3回にわたる詳細な面談を行い、それぞれの出演者について慎重に検討した。それでもすべてを把握し、確認するには限界があった点は認めざるを得ない」と頭を下げた。
結局、「韓国初のレズビアン恋愛バラエティ」というタイトルで注目を集めた『君の恋愛』は、開始早々、放送存続の危機に立たされている。「性の商品化」への拒否感が高まり続けているなか、簡単に見過ごすことのできない問題だ。
Wavve最大の「キラーコンテンツ」は今、存続の岐路に立っている。
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