韓国代表の“実験”が成功した。
キム・ドフン暫定監督率いる韓国代表は6月6日(日本時間)、シンガポール・ナショナルスタジアムで北中米W杯アジア2次予選・グループC第5節でシンガポール代表と対戦し、7-0で勝利した。
これで4勝1分の勝ち点13とした韓国は、来る11日に行われる中国代表との最終節を前に、首位での3次予選進出を確定した。
キム監督は今回、7人の選手をA代表に初招集した。
FWオ・セフン(25、FC町田ゼルビア)、DFハ・チャンレ(29、名古屋グランパス)をはじめ、FWペ・ジュノ(20、ストーク)、DFパク・スンウク(27、金泉尚武)、DFチェ・ジュン(25、FCソウル)、DFファン・ジェウォン(21、大邱FC)、GKファン・インジェ(30、浦項スティーラーズ)らがその面々だ。
単なる親善試合ではなくW杯2次予選という点、さらには暫定監督という点を考慮すれば、“破格”とも言える選出だった。
もちろん、FWチョ・ギュソン(26、ミッティラン)やDFキム・ミンジェ(27、バイエルン・ミュンヘン)、DFソル・ヨンウ(25、蔚山HD FC)など従来の主力が負傷などの理由で選外だったこともあり、代わりのメンバーを選ばざるを得ない状況ではあった。とはいえ、大幅な変化であることは間違いなかった。
ただ、実際の先発メンバーでは“サプライズ起用”は多く見られなかった。唯一、主力不在の右サイドバックにファン・ジェウォンを起用した。
昨年の杭州アジア大会では金メダル獲得で兵役特例の恩恵を受け、や今年4月のU-23アジアカップにも出場していたファン・ジェウォンは、2002年生まれながら所属する大邱(テグ)で主力を張る有望株だ。
守備はもちろん、攻撃的なプレーにも優れている。ただ、A代表デビューとなった今回の試合では、普段と違ってあまり積極的なオーバーラップは見られなかった。ファン・ジェウォンは後半24分、パク・スンウクとの交代でベンチに下がった。
それでも、後半に入り韓国が一気に追加点を加えると、キム監督は次々と交代カードを切った。
前出のパク・スンウクも、ファン・ジェウォンとの交代でデビュー戦を飾った。
パク・スンウクは2019年にセミプロのK3リーグ(3部相当)でデビュー。Kリーグ1(1部)の浦項(ポハン)と練習試合をした際、当時のキム・ギドン監督(現FCソウル監督)に才能を評価されて2021年夏に浦項移籍を果たすと、同年11月にはアル・ヒラルとのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝に出場し、昨季は1部年間ベストイレブン候補に選出されるなど、まさに“シンデレラストーリー”を突き進む選手だ。
浦項では本職の右SBのほか、左SB、ボランチ、センターバックと複数ポジションをこなすマルチロールとして活躍し、兵役のため今年から入隊した金泉尚武(キムチョン・サンム)で主力CBを担うパク・スンウク。今回のデビュー戦では右サイドバックとして出場し、積極的な攻撃参加で後半34分のペ・ジュノの得点をアシストした。
そのペ・ジュノも後半24分、MFイ・ジェソン(31、マインツ)に代わり2列目中央に起用された。
2003年生まれのペ・ジュノは、2022年に当時Kリーグ2(2部)の大田(テジョン)ハナシチズン(現1部)でプロデビューした後、2023年U-20W杯で10番としてU-20韓国代表をベスト4に導く活躍を見せたことで、同年夏にイングランド2部のストーク移籍。欧州初挑戦ながらリーグ戦38試合2ゴール5アシストの活躍を見せ、ストークの年間MVPに輝いた。
そして今回、A代表デビュー戦にしてデビューゴールを決めるインパクトを残した。
これにとどまらず、後半41分にはオ・セフンがFWソン・フンミン(31、トッテナム)との交代でピッチに足を踏み入れた。
昇格組ながらJ1リーグ首位を走る町田のストライカーとして、念願のA代表デビューを成し遂げたオ・セフン。出場時間が短く、目立った活躍こそ見せられなかったが、ひとまずデビュー戦を飾ることには成功した。
キム・ドフン暫定監督のもと、韓国は大勝に加えて“実験”も成功裏に終えた。
なお、韓国は次戦、来る11日にホームのソウルワールドカップ競技場で中国代表と対戦する。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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