韓国A代表初招集のFWオ・セフン(25、FC町田ゼルビア)が、自身の“デビュー戦デビューゴール”よりもチームの勝利の重要性を強調した。
キム・ドフン暫定監督率いる韓国代表は6月3日(日本時間)、シンガポール・ビシャンのビシャン・スタジアムで、現地到着後初のトレーニングを行った。
韓国代表は来る6日、シンガポール・ナショナルスタジアムでシンガポール代表との北中米W杯アジア2次予選グループC第5節を戦う。
今回、A代表に初招集されたオ・セフンは練習前の取材対応で「メンバーに選ばれたこと自体が光栄だ」とし、「韓国を代表する場なだけに、責任感を先に感じた」と率直な思いを伝えた。
かつては世代別代表で活躍したオ・セフンだが、A代表に到達するまでの過程は順調ではなかった。
そもそもオ・セフンは、韓国が2019年U-20W杯で準優勝の快挙を達成した当時、MFイ・ガンイン(23、パリ・サンジェルマン)らとともにU-20韓国代表をけん引した選手だ。
特に、日本との決勝トーナメント1回戦ではで決勝点となるヘディングゴールを決め、韓国を準々決勝に導いた。この勢いに乗り、韓国は“準優勝神話”を成し遂げた。
しかしその後、オ・セフンは周囲の期待とは裏腹に苦しい期間が続いた。
2022年、Kリーグ1(1部)の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ/現・蔚山HD FC)を離れ、当時J1リーグの清水エスパルスに移籍したオ・セフンだが、負傷と不振が重なったことで思うように出場時間を確保できず。弱り目にたたり目で、清水もJ2降格の憂き目に遭った。
その間、1歳年上のFWチョ・ギュソン(26、ミッティラン)がA代表で存在感を高めた。2021年東京五輪ではともに落選を経験した2人だが、チョ・ギュソンはパウロ・ベント監督体制の韓国代表で2022年カタールW杯に出場し、大会2得点をマーク。対照的に、代表でオ・セフンの存在感は薄れた。
しかし、今回キム・ドフン暫定監督が発表したメンバーにチョ・ギュソンの名前はない。チョ・ギュソンは今オフで右膝を手術することもあり、6月の代表メンバーから外れた。
そこで、今季好調ぶりを見せるオ・セフンにチャンスが訪れた。
身長193cmという優れた体格を誇り、空中戦に強みを持つオ・セフンは、今季を控えJ1に初昇格した町田へ期限付き移籍した。そして今、まさにセンセーションな活躍を繰り広げている。
オ・セフンは現在まで17試合に出場し、6ゴール1アシストを記録。町田は昇格組ながら、11勝2分4敗でリーグ首位を走っている。
オ・セフンが決めた6ゴール中、3ゴールがヘディングによるゴールであり、チーム内の最多スコアラーとなっている。
韓国代表でも、2列目のFWソン・フンミン(31、トッテナム)やFWファン・ヒチャン(27、ウォルヴァーハンプトン)との連係が期待できる最前線のストライカーだ。
「代表に入るため、一日一日を決心して過ごしてきた。諦めずに努力し続けて、やっとこの場に辿り着くことができた」というオ・セフン。これまでA代表に選ばれなかった理由については、「自分はまだ足りない点がとても多いストライカーだ。良い結果を出せなかったから選ばれなかった」と、冷静に自身を評価した。
また、イ・ガンインなど世代別代表の同期の活躍を受けての焦りを問われるも、オ・セフンは「焦ったというより、モチベーションが明確になった」とし、「友人たちも代表入りのために最善を尽くしてきた」と謙虚に伝えた。
そして、オ・セフンは町田で好調を維持している秘訣について、次のように語っている。
「監督だけでなく、チームメイトやコーチングスタッフなど、クラブを構成する方々が自分のために合わせてくれる部分がある。だからこそ、自分も彼らのために犠牲になろうと努力したので、良い結果が出たのではないかと思う。それでもまだ自分に足りない部分があると感じている」
オ・セフンにとっては、今回のW杯予選2連戦を上手く戦うことが当面の目標だ。「得点だけではなく、ターゲット型ストライカーとして仲間にとって“壁”になることができる。また、攻撃面だけではなく、守備的な部分も助けになることができると思う」と自信を示した。
また、韓国代表が正監督不在のため、今回の2試合のみ暫定指揮を執るキム・ドフン監督とは、自身が蔚山でプロデビューした2018年以来の再会に。その感想については「(自分が蔚山)1年目のときにキム・ドフン監督がいらっしゃった。多くのことを学んだ記憶がある」と語った。
オ・セフンは最後に、「FWとして責任感を持ち、得点を決めることが目標だ。デビュー戦でデビューゴールを決めたい個人的な目標はあるが、それよりも重要なのはチームの勝利だ」と力を込めて話していた。
(記事提供=OSEN)
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