かつてベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)や柏レイソルでも活躍した元Jリーガーで、現在は韓国Kリーグ1(1部)の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)を率いるホン・ミョンボ監督が、所属選手の起こしたSNSでの人種差別発言騒動を謝罪した。
ホン監督は6月13日、江原道(カンウォンド)原州(ウォンジュ)のオークヒルズCCで開催された「2023年サッカー人ゴルフ大会」に先立ち、報道陣の前に立った。
そして、「選手たちが個人的なSNS上で物議を醸す発言をした。監督として頭を下げ、申し訳ないとお伝えしたい」と謝罪した。
問題の発端は、去る10日に行われたKリーグ1第18節の済州(チェジュ)ユナイテッド戦後、過去にアルビレックスにも在籍した蔚山のDFイ・ミョンジェ(29)のSNS投稿だった。
投稿自体に問題はなかったが、MFイ・ギュソン(29)、MFパク・ヨンウ(29)、さらには元サガン鳥栖、鹿島アントラーズのDFチョン・スンヒョン(29)らチームメイトが載せたコメントが「人種差別だ」と指摘されたのだ。
イ・ギュソンは比較的肌が黒いイ・ミョンジェを東南アジア人になぞらえ、「東南アジア枠心強いね」とコメントした。
また、パク・ヨンウは2021年にライバルの全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースに在籍したタイ代表DFササラック・ハイプラコーン(27、ブリーラム・ユナイテッド)の実名を言及し、「ササラック、フォーム半端ない」とコメントした。
ほかにも、蔚山のチームマネージャーもイ・ミョンジェに対するコメントにササラックを用いた。チョン・スンヒョンのコメントに直接的な言及はなかったが、イ・ミョンジェが「お前のせいだよ、アジア枠」という返信をしていた。
その後、このやり取りが物議を醸すとこれらの投稿は削除され、パク・ヨンウやイ・ギュソンは自身のSNSに謝罪文を掲載。蔚山もクラブ公式SNSで謝罪文を発表し、「今回の事件をきっかけに、所属人員を対象にすべての形態の差別を根絶する教育を実施する。(事態を)綿密に把握し、賞罰委員会を開催して懲戒手続きを進行する」と伝えた。
Kリーグを主管する韓国プロサッカー連盟も、蔚山に経緯書の提出を要請している状態だ。
そして、予期せぬところで言及がなされたササラック本人は、自身のSNSで「非難もたくさん受けたが、その人たちについては気にしていない。私を愛し、待ってくれるたくさんの人がいるという点を知っているからだ。今まで自分がよくやってきたと自分の口から話したことはないが、戦ってきた自分自身を誇りに思う」と伝えていた。
ホン・ミョンボ監督はササラック本人とタイのサッカーファンに謝罪した。
指揮官は「実名が挙がった選手と家族、所属チームのブリーラム・ユナイテッド、そしてタイのサッカーファンにも申し訳ないと申し上げたい。短い期間、全北でプレーしたが、全北のファンにも申し訳なく思う」とし、「人種差別というのは、サッカーを離れて世界的な問題だ。なくならなければならない問題だと思っている。我々はいつでも被害者になり得る。もう一度チーム全体で(人種差別発言の)再発防止を約束しなければならない。全員がプロ選手だ。もう一度プロの責任感と重い認識を胸に刻みながら、クラブが人種差別に反対するクラブになれるよう努力する」と伝えた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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