例えばカンボジア代表は本田圭佑が実質的な監督を務め、シンガポール代表は西ヶ谷隆之監督が率いるなど、日本人指揮官のもとで大会を戦った。ミャンマー代表とラオス代表はドイツ人指揮官、フィリピン代表とブルネイ代表はスペイン人指揮官を据えた。
いずれもサッカー先進国からやってきた指導者だったが、目立った成果を出せずに大会を去ることになった。韓国人監督の力量がさらに目立つ背景だ。
パク・ハンソ監督のベトナムはこれ以上の説明が必要ない。
パク監督は就任以降、毎年のように神話を築いてきた。これ以上成し遂げるものがないほど、ベトナムを東南アジア最強格にまで押し上げた。可能性を備えた才能ある選手たちを育て上げ、現在のベトナムを作った。パク監督のリーダーシップは今やあまりに有名であり、もはや知らない人がいないほどだ。
キム・パンゴン監督がマレーシアをベスト4に導いたのは期待以上の成果と言えるだろう。
マレーシアは前任のタン・チェン・ホー監督時代に頂点に達したという評価を受けていた。キム監督はやや弱体化したチームを受け継ぐことになったが、たった1年間で卓越したリーダーシップを駆使して強化を進め、チームの完成度を高めた。
そして今回、マレーシアをアジアカップ本大会までに導くと、グループステージでは退場者が発生するまで強豪ベトナムと対等な試合を繰り広げるなど、安定した戦力を誇るチームへと変貌させた。
2020年からインドネシアを率いるシン・テヨン監督は、着実にチームを発展させている。U-20代表、U-23代表監督も兼任しながら、インドネシアサッカー協会の全面的支援のもとで継続的に結果を得ている。
インドネシアは前回の2020年大会で準優勝を達成した。今回もシン・テヨン監督のもと、2大会連続での決勝進出を狙っている。
東南アジアを席巻する韓国人指導者の最大の強みは“経験”だ。3人の指導者ともそれぞれ豊富な経験を持つ。
まず、パク・ハンソ監督は韓国代表首席コーチとして2002年日韓W杯ベスト4を経験した後、国内Kリーグで長年監督を務めた。
キム・パンゴン監督は韓国サッカー協会(KFA)副会長や国家代表戦力強化委員長を歴任するなど、現場を離れた期間こそあったが、2012~2017年まで香港代表を率いた確かなキャリアがある。
KFAにいる間もアジアサッカーの潮流を把握し、代表をサポートする仕事をしていたため、本業に戻った後もいち早く指導者としての本能を発揮した。
シン・テヨン監督もKリーグの城南一和天馬(ソンナム・イルファ・チョンマ/現・城南FC)を率いてアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)優勝を経験したほか、韓国代表を率いて2018年ロシアW杯を戦った。このようなキャリアでインドネシアでも優秀な指導力を見せている。
現地の状況や与えられたスカッドの能力を最大限強化する能力も卓越している。現実に合わせて練習プログラムを組み、戦術を導入し、チームの戦力を最大値に引き上げている。自身の色を維持しながらも、柔軟に環境に対処できるのが韓国人指導者の長所だ。
今大会のブームを通じて、東南アジアにおける韓国人指導者の需要はさらに増える見通しだ。
東南アジアサッカーの事情に詳しい関係者は、「パク・ハンソ監督一人だけでも東南アジアで韓国人指導者が関心を持たれるのに十分だったが、これからはこの現象がさらに深化するだろう。アジアでは確実に韓国人監督たちが優秀な面がある」と伝えた。
なお、AFF三菱電機カップ準決勝はインドネシアとベトナムが本日(1月6日)と9日、マレーシアとタイが7日と10日にホーム&アウェイ形式で対戦する。
ベスト4の結果次第では、韓国人指導者同士が決勝で激突する光景も見られるかもしれない。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.