ハムストリング負傷でグループステージ第1~2節を欠場したファン・ヒチャンは、決勝トーナメント進出をかけた最終節のポルトガル戦で後半20分から途中出場する。
1-1の同点で迎えた試合の均衡を破ったのはアディショナルタイムだ。相手コーナーキックのクリアボールをFWソン・フンミン(30、トッテナム)が拾い、そのまま敵陣までドリブルで独走すると、守備に入っていたファン・ヒチャンが自陣から猛ダッシュして横に追いつく。
そこで、ソン・フンミンは相手DFに囲まれながらも股を通すスルーパスを送り、これに反応したファン・ヒチャンがダイレクトでゴールネットに流し込んだ。これで逆転勝利した韓国代表は、他会場の結果もあって劇的に決勝トーナメント進出を決めた。
もちろん、この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POTM)のトロフィーはファン・ヒチャンに贈られた。
帰国直後の仁川国際空港で報道陣の取材に応じたファン・ヒチャンは、「一生懸命走るチームメイトを見て感動を受けた。自分が助けることができなくて悔しい気持ちが大きかった。よく頑張っているのに結果がついてこないことが心理的に苦しく、涙が出た。第3節には出場したかったし、幸いにも出場出来て、得点までできて嬉しかった」と、歓喜の瞬間を振り返った。
生涯で2度目のW杯だった。ファン・ヒチャンは4年前の2018年、22歳でロシアW杯を迎え、大舞台の第一歩を踏み出した。当時は年下組の一人だったが、4年が経った今は多くのことが変わった。いつのまにか誰かにアドバイスをできるほどに成長していた。
「前回のW杯では末っ子の方だった。あまりに緊張して、むやみやたらに一生懸命戦おうとだけしていたが、今回はチームメイトにどうすればもっと楽にできるか助言もした」
1-4の完敗で実力差を見せつけられた決勝トーナメント1回戦のブラジル戦でも、ファン・ヒチャンは持ち味の猪突的な突破を図り、計5本ものシュートを放ってブラジル守備陣を脅かしていた。
ファン・ヒチャンは韓国サッカーの未来を背負う責任のある選手だ。初めてW杯に出場した同じ1996年生まれのDFキム・ミンジェ(26、ナポリ)、MFファン・インボム(26、オリンピアコス)、MFナ・サンホ(26、FCソウル)をはじめ、“韓国の至宝”ことMFイ・ガンイン(21、マジョルカ)、さらにはFWチョン・ウヨン(23、フライブルク)、FWチョ・ギュソン(24、全北現代モータース)などが“未来世代”に挙げられる。
「若い選手たちが良いプレーを見せた。前に進むことができる未来を見たようだ」とファン・ヒチャンも期待を寄せた。
キャプテンのソン・フンミンは大会を振り返り、「若い選手たちがあまりに頑張ってくれたことに感謝している。W杯という舞台で実力を発揮できたことが誇らしい」とし、「これで終わりではない。選手たちは地道にもっと頑張らなければならない。これからも責任感を持って戦い続けてほしい」と後輩にエールを送った。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.