パウロ・ベント監督の寵愛を受けてきた“韓国のピルロ”が帰ってくる。
ベント監督は来る9月の2022年カタールW杯アジア最終予選2試合に向け、26人のメンバーを発表した。そのなかに、ロシア・プレミアリーグのルビン・カザンでプレーするMFファン・インボム(24)も含まれていた。
ファン・インボムのA代表デビューは2018年9月。以降、彼は1年3カ月の間にAマッチ23試合出場を記録した。
ベント監督就任以降に戦った国際親善試合、アジアカップ、2022年カタールW杯アジア2次予選、E-1サッカー選手権など、ほとんどの大会でファン・インボムが選ばれなかったことはない。彼は2018年ジャカルタ・アジア大会で金メダルを獲得後、A代表の中心選手として定着した。
ベント監督はファン・インボムの基本技術やセンス、積極的なプレーを高く評価している。幼い頃から韓国で「サッカーの天才」と呼ばれてきたファン・インボムは、正確なパスと老練なゲームコントロール、さらには創造性も兼ね備えた中盤の選手だ。
守備力もあり、運動量も豊富であるため、2列目中央のみならず3列目でもプレーできる。ベント監督も、「長所があまりに多すぎる。ミッドフィールダーが持つべきすべての力量を持っている」と、ファン・インボムへの並々ならぬ愛情を示している。
ただ、ファン・インボムは2019年12月のE-1サッカー選手権以降、国際Aマッチに出場できずにいる。
昨年11月のオーストリア遠征では代表にこそ合流したものの、チーム内の新型コロナウイルス集団感染が発覚したなか、ファン・インボムも陽性判定を受け、メキシコ代表、カタール代表との試合に出場できなかった。ファン・インボムとしては残念な時期を過ごすしかなかった。
ファン・インボムは昨夏に欧州進出を果たした。2020年8月米メジャーリーグサッカー(MLS)のバンクーバー・ホワイトキャップスからロシアの名門ルビン・カザンへと移籍した。
チーム内では存在感も発揮している。加入初年度の昨シーズンでチームに溶け込み、今シーズンはエースとして活躍中だ。
ファン・インボムは現在まで行われた今季リーグ戦5試合すべてで先発出場。うち2ゴールを記録するなど、得点感覚も引き上げられている。
それほどコンディションが好調なだけに、よほどの異変がない限り、ファン・インボムは来る最終予選で1年8カ月ぶりとなる国際Aマッチを戦う見通しだ。
ファン・インボムの合流によって、韓国代表の中盤のポジション争いはさらに激しくなるだろう。
ベント監督は相手の特性や試合の流れなどを考慮し、中盤で多彩な攻勢を組めるようになった。ファン・インボムも2列目に配置することで、MFクォン・チャンフン(27、水原三星ブルーウィングス)やMFナム・テヒ(30、アル・ドゥハイル)、MFイ・ドンギョン(23、蔚山現代)、MFイ・ジェソン(29、マインツ)ら2列目の選手とのシナジーが期待できる。
また、より攻撃的なラインナップを構成するのであれば、ファン・インボムを3列目で起用することも一つの手だ。
アジア大会で金メダルを獲得したメンバーとの連携も期待される。ファン・インボムは同じ1996年生まれのDFキム・ミンジェ(24)やMFナ・サンホ(25、FCソウル)、FWファン・ヒチャン(25、ライプツィヒ)らと久しぶりに顔を合わせる。
DFキム・ムンファン(26、ロサンゼルスFC)やFWソン・フンミン(29、トッテナム)、FWファン・ウィジョ(28、ボルドー)、GKチョ・ヒョヌ(29、蔚山現代)なども当時のメンバーだ。ファン・インボムの代表復帰は、さまざまな面で代表に活気を与えるはずだ。
なお、韓国は9月2日にソウルワールドカップ競技場でイラク、7日に水原ワールドカップ競技場でレバノンと対戦する予定だ。
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