元韓国代表で現在は全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースのアドバイザーを務めるパク・チソン氏が、この1カ月間、クラブの仕事に注力し存在感を発揮した。
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パク・チソン氏は7月中旬に韓国に入国後、約1カ月間の暑い夏を送った。全北現代のU-12チームからトップチームの業務まで、多様な分野にわたって注意深くアドバイスをするという任務をまっとうした。
今回の訪問を終えたパク・チソン氏は、来る8月20日に居を構える英ロンドンへ戻る予定だという。
今年1月に全北現代のアドバイザー委嘱が発表されたパク・チソン氏は、四半期ごとにクラブを訪問し、業務を進める形式で全北現代との動向を続けている。
ロンドン滞在時は地道に実務者と交流し、クラブ業務を把握して必要な部分について助言する一方、現地を訪れた今回は選手やスタッフに直接会って話を聞き、アドバイスを伝える時間を過ごした。
パク・チソン氏が最も気を使った部分はユースチームの文化だ。パク・チソン氏はユースチームの練習時間を減らさなければならない点を強調した。
一日に2~3度練習を行う従来の方法では成長期の選手に無理が伴うと判断したパク・チソン氏は、指導者とのコミュニケーションを通じて練習パターンに変化をもたらした。彼は「選手が希望する場合にのみ追加練習を実施し、そのほかは自立に任せる方式でなければならない」と要請した。
統一した雰囲気や集中力向上のため、クラブ側が選手たちのスマートフォンを回収していたルールもなくなった。「今後はプロに成長するユースの選手たちが自ら判断して決定し、創意性を活かさなければならない」というパク・チソン氏の意志によるものだった。
パク・チソン氏がこれらの変化を加えた理由は、即座の成績や結果より、今後トップチームのスカッドに合流でき得る選手を育てることが重要だと判断したためだ。
通常であれば、指導者としては大会の結果に対するプレッシャーを抱えるしかない。だが、パク・チソン氏の哲学のおかげでそれらの負担を軽減し、変化をもたらすことができたという。結果、全北現代のU-18チームにあたる永生(ヨンセン)高校は、最近まで行われた全国高等サッカーリーグ王中王戦で優勝に成功。パク・チソン氏によってポジティブな変化が生じたことを証明してみせた。
パク・チソン氏はユースだけでなくトップチームの選手にも会い、彼らの苦労を聞いて激励した。ベテランやルーキーを問わず、パク・チソン氏自ら近づいて力を届けた。
また、クラブの全般的な運営と方向性についても継続的に議論するなど、すべての分野にわたって影響力を行使した。トップチームを指揮するキム・サンシク監督とも、今後のリビルディングと選手運営について意見を交わした。
ペク・スングォン団長は「ユースの方でパク委員の話がたくさん出ているが、実はプロチームについても多くの話をしている。世界最大のビッグクラブで長くプレーしていただけに、我々にとってプラスになる話が多い」とし、「とても誠実な人だ。クラブハウスで寝泊まりをするほどに充実した時間を過ごした。実際のところ、我々はそれほど多額の報酬を渡せなかった。それでも自身の仕事を100%以上やり遂げてくれてありがたい」と述べた。
パク・チソン氏が全北現代のアドバイザーに委嘱した当初は、ただの“名誉職”なのではないかと疑う声もあった。
しかし、パク・チソン氏は自らの行動を通じ、真摯に業務と向き合う姿勢を示している。全北現代としては、パク・チソン氏のアドバイザー委嘱は“神の一手”になったと言っても過言ではない。
パク・チソン氏は今後、来る10月に再び全北現代を訪れ、自身の業務を続ける予定だ。
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