ドイツ人の父と韓国人の母を持つドイツ出身MFイェンス・カストロップが、登録先をドイツサッカー連盟(DFB)から韓国サッカー協会(KFA)に変更した。これにより、韓国代表史上初の“ドイツ系選手”が誕生する可能性が一気に高まっている。
デュッセルドルフ出身のカストロップは2003年7月生まれの22歳。ケルンのユースを経てセカンドチームでもプレーしたが、トップチームでの公式戦出場はなく、2022年1月にブンデスリーガ2部のニュルンベルクへレンタル移籍。翌年7月に完全移籍加入すると、昨季はミロスラフ・クローゼ監督が率いたチームで主力として活躍し、今夏に1部のボルシアMGへ移籍した。
U-16からU-21までドイツの世代別代表に選ばれた実績もあり、韓国サッカー界でも早くからその存在は知られていた。
韓国代表のコーチ陣も、昨年上半期の欧州視察でカストロップの試合をチェックしている。選手本人や家族も、韓国メディアを通じて韓国代表入りへの強い意思を明らかにしてきた。
ただ、韓国代表率いるホン・ミョンボ監督は協会変更に伴う手続きや、直近まで北中米W杯アジア最終予選を戦っていた状況などを踏まえ、長期的な視点でカストロップを見守る考えを示した。カストロップ自身も今年4月に右膝の側部靭帯断裂で離脱し、今夏のプレシーズンマッチで実戦復帰したばかりとまだ本調子ではない。
今年6月にW杯本大会出場を決めた韓国代表は、7月のE-1選手権で国内組の選手をテストするなど、来年6月の本大会を見据えて競争力の底上げを図っている。そうした中での登録変更は、カストロップの招集が現実的な選択肢となる段階に入ったことを意味する。
カストロップは最近、KFAに対して韓国代表でプレーする意思を改めて表明し、KFAも選手本人の同意を経て登録先の変更手続きを進めた。
ボルシアMGは17日のDFBポカール1回戦を経て、25日にハンブルガーSVとのブンデスリーガ開幕戦を迎える。リーグ戦でのパフォーマンス次第では、9月の国際Aマッチで韓国代表に選ばれる可能性もゼロではない。
では、カストロップの韓国代表入りが実現すれば、ホン・ミョンボ監督はどのように彼を活用するだろうか。本職はボランチだがトップ下やサイドでもプレー可能であり、ニュルンベルクでは右ウイングバックで出場した経験もある。
韓国代表ではボランチでテストを受ける可能性が高い。現代表ではMFファン・インボム(フェイエノールト)が不動の存在で、MFパク・ヨンウ(アル・アイン)が主にパートナーを務めてきたが、確固たる信頼を得るまでには至っていない。とはいえ、パク・ヨンウに代わる選手が多いわけでもないのが実情だ。
E-1選手権では初招集のMFソ・ミヌ(江原FC)がコーチ陣の高い評価を得たが、国際舞台での活躍には未知数な部分も多い。その点、カストロップはパク・ヨンウはもちろん、ファン・インボムの代役もこなせる選手として期待されている。韓国代表がE-1選手権で3バックの布陣も試したこともあり、ウイングバックとして起用する可能性も伝えられている。
とはいえ、実際にカストロップが代表で定着するためには、“韓国代表の文化”に適応することが最大のカギとなる。これまで韓国代表に招集されたハーフ選手や帰化選手は多くないだけに、カストロップがスムーズに代表に溶け込むには、本人の積極的なコミュニケーションは当然だが、周囲の理解や配慮も求められる。
9月の国際Aマッチでアメリカ遠征に臨む韓国代表は、7日にアメリカ代表、10日にメキシコ代表と対戦する。この2連戦を戦うメンバーにカストロップが含まれるのか、ホン・ミョンボ監督の選択に注目したい。
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