現在の韓国Kリーグにおいて、同じポジションでMFチュ・セジョン(32、大田ハナシチズン)より優れたパフォーマンスを発揮している選手はいるのだろうか。
チュ・セジョンは現在、Kリーグ1(1部)で最もパフォーマンスが良い守備的MFだ。
昨年夏、ガンバ大阪からレンタル移籍で大田に加入したチュ・セジョンはチームを8年ぶり1部昇格にけん引。そして、完全移籍加入した今シーズン、キャプテンとして臨む1部の舞台でもそのハイレベルな技量は変わらない。
開幕直後、3月4日に行われた第2節仁川(インチョン)ユナイテッド戦では相手選手のヘディングが顔面に直撃し、眼窩骨折を負うというアクシデントもあった。
それでも約1カ月間の負傷離脱を経て、今月12日に行われた巨済(コジェ)市民サッカー団とのFAカップ3回戦で実戦復帰。そして、16日の首位・蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)とのKリーグ1第7節ではチームを2-1の勝利に導いた。
まだ完全に回復したわけではなく、フェイスガードを着用してのプレーではあったが、先発フル出場して攻守で献身的なプレーを披露した。
1990年生まれのチュ・セジョンは韓国の数え年で今年34歳となるが、依然としてそのパフォーマンスはトップレベルだ。
特に、DFラインの一列前で試合をコントロールするプレーメーカーとしての技量は以前よりはるかに良くなった。熟練したゲームコントロールに長短の距離を選ばない正確無比なパス、そしてチームを引っ張るリーダーシップも備えている。
チュ・セジョンこそ大田(テジョン)のサッカーの“本体”で、彼一人が戦力の半分という声も出るほど、その存在感はリーグ全体でも際立っている。
このため、韓国サッカー界では最近、「チュ・セジョンを今すぐ代表に戻しても遜色がない」という意見も出ている。大田を率いるイ・ミンソン監督も「実力だけ見れば疑いの余地はない。代表選手レベルだと思う」と太鼓判を押した。
チュ・セジョン自身、「引退するまでは、チャンスがあれば代表に選ばれ続けたい」と意欲を見せつつも、「ただ、(現在の代表には)優れた選手がとてつもなく多い。自分はひとまず、所属チームに集中して頑張り続ければ、いつか呼んでくれるのではないかと思う」と謙虚な姿勢を見せた。
現在、韓国代表の守備的MFの座は“脆弱ポジション”の一つに分類されている。
カタールW杯ベスト16を成し遂げたパウロ・ベント前監督時代は元京都サンガF.C、ジュビロ磐田、ヴィッセル神戸のMFチョン・ウヨン(33、アル・サッド)が重用されてきたが、ほかのポジションと比較すると明らかに層の薄さが際立つ。
2018年ロシアW杯に出場経験もあるチュ・セジョンは、同ポジションの主力争いに火を付ける代案となり得る。来年1月に行われるアジアカップまでは技量を維持できると見られているだけに、代表復帰の可能性はゼロではない。
ユルゲン・クリンスマン監督体制の韓国代表でコーチに入閣したチャ・ドゥリ・テクニカルアドバイザー、マイケル・キム・コーチは、大田対蔚山現代の試合を現地で視察していた。来る6月に行われる次回の招集まで、現在のパフォーマンスを維持することができれば、久しぶりに代表でプレーするチュ・セジョンの姿が見られるかもしれない。
もっとも、まずはチュ・セジョン本人の言葉通り、大田の上昇を維持することが最優先目標だ。
「フェイスガードのせいで本当によく見えない」と困難を明かしたチュ・セジョンは、「100%のコンディションでプレーできればもっと良かったと思う。後輩や同僚がもっと楽に試合を戦えるよう、手伝えることができたはずなのに、そうすることができなくて残念だ。今後2~3試合は(フェイスガードを)着用しなければならない」とし、「できるだけ早くコンディションを回復することが重要だ」と力を込めた。
そして、「自信がついた。チームメイトも自分たちが発展し、成長していることを感じている。シーズン序盤だからこそ、着実にもっと上手く試合を戦えるよう、チームをリードしなければならない」と、大田の好調を維持することが重要だと強調した。
なお、大田は次戦、22日にアウェイの大邱(テグ)DGB銀行パークで大邱FCとのKリーグ1第8節を戦う。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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