熱いひと時だった。2試合だけで合計10万人以上の観客がスタジアムを訪れた。
ただ、「オールスターゲーム」の性格を帯びた親善試合の開催には再考の余地がある。
韓国で行われた「Coupang Playシリーズ」の親善試合。7月13日にソウルワールドカップ競技場で行われたトッテナム対チームKリーグ(Kリーグ選抜)には6万4100人、16日に水原(スウォン)ワールドカップ競技場で行われたトッテナム対セビージャには4万3998人の観客が訪れた。
特に、トッテナム対チームKリーグが行われた日は大雨が降ったにもかかわらず、満員の観衆がスタジアムを埋め尽くした。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、Kリーグの最多観客動員数が、FCソウル対水原三星ブルーウィングスによるダービー“スーパーマッチ”の1万4625人であることを考慮すれば、とてつもない関心と熱気が感じられた。
ただ、一方で残念な気持ちも残った。チームKリーグは1部12チームから各2選手ずつ選抜し、事実上のオールスターゲームの形でトッテナムと対戦したのだが、カタールW杯の冬季開催の影響もあり、非常にタイトな日程のなかで試合が行われた。
これにはバルセロナ下部組織出身のFWイ・スンウ(24、水原FC)も、「素晴らしい機会であり、素晴らしいことではあるが、一方では残念さもある。選手たちがこんなにも暑く、じめじめとした気候のなかで一生懸命プレーしているのに、Kリーグの日程の最中に突如こんな試合を組むなんて…」と苦言を呈した。
それだけでなく、「オールスターゲームの意味が色あせた」という評価も受けていて、実際にスタジアムではKリーグファンよりトッテナムファンの方が多かったという、自嘲交じりの話も出ていた。
それでも、興行面で見れば今回の「Coupang Playシリーズ」は成功だった。
トッテナム対セビージャの一戦は、プレシーズンマッチという冠が顔負けするほどに熾烈だった。両チームの選手が神経戦を繰り広げるなど、まさに火花の散る戦いだった。
トッテナムもセビージャも、2022-2023シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)に出場するチームだ。もちろん、FWソン・フンミン(30、トッテナム)という韓国サッカー界を代表するスターがいたからこそ、会場も熱く盛り上がったのかもしれない。ただ、セビージャに対する歓待も期待以上のものだった。
「Coupang Play」は今回、Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟とのパートナーシップを2025年まで締結した。Kリーグのニューメディア・オンライン放映権を保有し、関連コンテンツ事業を行うなど、Kリーグ発展のためのパートナー関係を構築するというのが骨子だ。単なる海外チームの招待、そして一度きりのシリーズで終わってはならない。
そこで、一種の「スーパーカップ」の形態に発展してみてはどうだろうか。単なる親善試合を超え、大会という枠に海外チームを招待できれば、より開催の意義が生じる。大会であるだけに、賞金も発生するのであればなおさらだ。
プレシーズン中の欧州勢としても、訪韓することで実戦経験を積むことができる。Kリーグ側では、リーグ戦王者とFAカップ王者を出場させ、代表性を与えることができる。
トッテナム、セビージャ訪韓で大盛況に終わった今回の「Coupang Playシリーズ」だが、今後どのような開催形式にするかは、韓国プロサッカー連盟と「Coupang Play」がひざを突き合わせる必要がある。
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