20年前の韓国で起きた凄惨な事件に再び注目が集まっている。
韓国では最近、あるYouTubeチャンネルで「密陽(ミリャン)女子中学生集団性暴行事件」の加害者の近況が公開された。
この事件は、2004年12月に慶尚南道(キョンサンナムド)の東部に位置する密陽で起きた実際の事件。高校生44人が、隣接する蔚山(ウルサン)の女子中学生1人を密陽に誘い、1年間にわたって性暴行を加えたという凄惨な事件だ。
加害者たちは犯行当時、1986~1988年生まれで高校生だった。そのため検察は、性暴行に直接加担した一部だけを起訴し、残りは少年部に送致、もしくは釈放された。起訴された10人も翌年に少年部へと送致され、保護観察処分を受けるのみだった。
未成年であるため、44人全員が刑事処罰を受けず、前科もつかなかったことで、全国民から憤っているというわけだ。
今回、加害者の身元情報公開という“私的制裁”が話題を集めている一方で、論難もある。当初、ユーチューバーは「被害者家族と直接メールを交わし、44人全員が公開する方向で結論が出た状態」と言っていたが、韓国性暴行相談所側が「2004年の性暴行事件の被害者側は密陽集団性暴行事件に対して、初回の映像が公開される前まで当該事実を全く知らず、事前の同意を問われたこともない」と反論したためだ。
これに対してユーチューバーは、「私はサイバーレッカー〇〇〇だ。一日にメールが数千通届くが、そこには様々な内容が込められている。それでは君たちは、20年間、被害者のために積極的に何かをしたのか」と主張し、「被害者の同意を得た」という文を削除したあと、4番目の加害者の身元情報を公開した。
ここで言及された「サイバーレッカー」とは、イシューが生じるたびに素早く出回っている素材を使って動画を作るユーチューバーたちを、交通事故現場に出動する牽引車(レッカー)に比喩した造語だ。
このように、法的には処分を受けたわけではないが、ユーチューブを利用した私的制裁が良くも悪くも話題を集めている現在、事件をテーマにした映画で主演を務めた女優チョン・ウヒがテレビで言及したことで、もう一度話題を集めている。
事件を取り扱った2013年の映画『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』で、被害者役として主演を務めたチョン・ウヒは、デビュー10年目にして青龍(チョンヨン)映画賞・主演女優賞を含め、13の賞を獲得した。
チョン・ウヒは6月5日放送のtvNバラエティ『ユ・クイズON THE BLOCK』で、「本当に製作費がなく、すべての方々が心を集めて撮影した作品だった。難しい話に大衆が耳を傾けてくれるか少し悩んだが、私たちの話に意味があるという確信はあった」と話した。
続けて、「その友人と私と2人で、お互いに寄りかかって頼りながら時間を過ごした。いつもそばにいてあげたかった。それまで演じた人物(役)たちは見送ったが、ゴンジュは私がいつも守ってあげようと思った。重みがあったようだ。私も」として、「疎外された人々に少しでも光を当て、傷ついた人々が見ることで癒しになってほしいという気持ちがあった」と述べた。
そのほかにも、国民的女優の故チェ・ジンシルさんが、事件の被害者に経済的支援をしていたという事実も再度注目を集めている。最近、様々なオンラインコミュニティには「2004年の密陽性暴行被害者を助けたチェ・ジンシル」というタイトルの文が掲載され、拡散している。
その内容は、かつてチェ・ジンシルさんが広告モデルを務めた建設会社から、品位維持義務の違反を理由に30億ウォン(約3億円)の損害賠償請求訴訟を起こされた際、弁護を務めたカン・ジウォン弁護士のインタビューに関連したものだった。
カン弁護士は当時、被害者の法律代理を無料で受け持っていたと同時に、チェ・ジンシルさんの訴訟も担当していた。しかし、チェ・ジンシルの無料弁護に対して、一部では有名芸能人だから恩恵を受けられたのではないかという批判が提起されると、結局、代金を受け取ることにした。
この時、カン弁護士はチェ・ジンシルさんから受け取った代金を、被害者を助けるための寄付金として出すことにした。カン弁護士は「チェ・ジンシル氏もやはり意味のあることだと考え、快く応じた」と説明していた。
私的制裁という方法は褒められたものではないが、20年が経った今になって新たな展開を迎えている密陽集団性暴行事件。これからも風化させてはいけない事件の一つだろう。
(記事提供=OSEN)
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