世界的に深刻な問題となっているディープフェイク性犯罪。知らないうちに被害者になりかねない悪質犯罪を根絶するべく、韓国政府が対応に乗り出した。
まず、ディープフェイク犯罪との戦争を宣言したのはアメリカだ。
7月31日(現地時間)、『AP通信』によると、カリフォルニア州議会は児童性搾取物の製作などのAIを活用した犯罪行為の取り締まりのための規制法案を可決したという。ギャビン・ニューサム州知事が8月30日までに法案に署名すれば、カリフォルニア州はアメリカで初めてAIディープフェイクに対する規制を導入することとなる。
そして韓国政府も国家情報院、外交部、国防部、科学技術情報通信部、検察、警察など14の省庁と合同で樹立した「国家サイバー安保基本計画」を発表した。
これは今年2月に発表された「国家サイバー安保戦略」の後続措置。当時、国家安保室は「攻勢的サイバー防御活動強化」「グローバルサイバー共助体系構築」「国家核心インフラサイバー復元力強化」「新技術競争優位確保」「業務遂行基盤強化」など5大戦略課題を提示した。
今回の基本計画は、14省庁の個別課題93件と共同課題7件を合計した100の実践課題で構成されている。
政府はフェイクニュースおよびポータル・プラットフォーム事業者の自律規制などを強化することにした。また、ディープフェイク、北朝鮮からのハッキングの試みなど、ネット上で発生する脅威要因の防御対策も含めた。
しかし、一部の加害者たちは政府のディープフェイク対応をあざ笑うかのように、取り締まりを避けるための対処方法を共有していることが分かった。
最近、ネット上では「学校暴力ディープフェイク対策本部」という名前のサイトが登場。彼らはディープフェイク加害経験と警察の調査への対処法、処罰の可能性などに対する情報交換をしているという。
このように、ディープフェイク犯罪は青少年の間でも頻発していることが分かる。
9月2日に韓国青少年政策研究院が発表した「青少年デジタル人材をどのように養成するか」という報告書によると、2023年上半期に学校で「生成 AI技術活用教育」を受けた比率は35.7%だった。
これは、「インターネット・スマートフォン過依存防止教育」「個人情報保護教育」「スミッシングなどのデジタル金融詐欺予防教育」など、10項目の中で7番目に低かった。
一方、日常で「生成 AI」を利用した経験があると答えた割合は52.1%で、男子学生(57.3%)が半分以上の割合となっている。
そんななか、家庭教育が問題だという世論も広がっている。最近、あるオンラインカフェでは、加害生徒の両親と推定される女性が書いた文が常識外れだと注目を集めた。
タイトルは「ディープフェイクは校内暴力として認められるでしょうか?」。「中学3年生の息子がグループチャットである女子学生を対象としたディープフェイクを共有し、性的な嫌がらせをしたことが問題になった。女子生徒の両親が学校暴力対策審議委員会に引き渡そうとしている」とし、「これが学校暴力なのか」とむしろ問い返した。それとともに未成年者も処罰されるのかと尋ねたことで、会員たちから袋叩きに遭ってしまった。
罪悪感もなく単純に面白いからと弁解する学生、そして犯罪を回避しようとする親まで増え、非人間的な教育の現実が一つひとつ明らかになっているのだ。
政府だけでなく、家庭や教育庁が総動員で正しい指導に乗り出さなければならないのが実情なのだ。
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