突然この世を去ったイ・ソンギュンさんの最後の遺作…「今も会いたい」制作報告会で共演者が語る

2024年07月22日 映画

昨年12月に突然この世を去った俳優イ・ソンギュンさんの最後の遺作、映画『幸福の国』(原題)がベールを脱ぐ。

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『幸福の国』は、激動の韓国現代史で「最悪の政治裁判」に挙げられるパク・フンジュ大佐の裁判がモチーフだ。死を控えたパク・テジュ(演者イ・ソンギュンさん)大佐と、彼を生かすために全力を傾けるチョン・インフ(演者チョ・ジョンソク)弁護士の話を描いた。

朴正煕(パク・チョンヒ)暗殺事件が起き、粛軍クーデターが発生する前に、権力を持った軍人たちがどうやって民主化の熱望を押さえつけ、便法と陰謀で権力を簒奪しようとしたかが描かれる。『KCIA 南山の部長たち』(2020)と『ソウルの春』(2023)の間、あまり知られていない歴史の痛みを扱う。

権力から無惨に踏みにじられた軍人

7月22日、『幸福の国』制作報告会
7月22日、『幸福の国』制作報告会

7月22日午前11時、ソウルのロッテシネマ建大入口で開かれた『幸福の国』制作報告会でチュ・チャンミン監督は、「10.26(朴正煕暗殺事件)と12.12事態(粛軍クーデター)はよく知られているが、その間にどんなことがあったのかはよくわからない。興味深いところが多い」とし、「(亡くなった)イ・ソンギュンはチョ・ジョンソクから演技を学びたいと、作品に出演したと話した。長らく演技してきたにもかかわらず、好奇心と演技的な熱望が大きかった。映画を見れば、私たちがどれほど良い俳優を失ったのかわかるようになるだろう」と話した。

権力から無惨に踏みにじられた軍人を演じたという点で、故人になったイ・ソンギュンさんと妙な接点がある。もうこれ以上、彼の新しい演技を見ることができないという思いから、想定外の感情が押し寄せてくることもある。

チュ・チャンミン監督
チュ・チャンミン監督

共演したチョ・ジョンソクは「兄さん(イ・ソンギュンさん)が冗談で言った言葉だと思ったが、本当だったようだ。情の深い人だった。撮影しながら、一度も楽しくない瞬間がなかった。誰よりも執念深く、熱かった。心は温かかった。今も会いたい」とし、「『幸福の国』では、これまで見たことのない重さを見せてくれそうだ。その時代に生きた人物のように見える瞬間が多かった」と述べた。

チョ・ジョンソク
チョ・ジョンソク

『ソウルの春』が観客動員数1312万人を突破し、1980年代の政治史に関する関心が高まった。ファン・ジョンミンが全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領をモチーフにした「チョン・ドゥグァン」を演じ、話題性も大きくなった。『幸福の国』では、ユ・ジェミョンがチョン・サンドゥという名前で欲望の化身を表現する。

ユ・ジェミョンは「それなりに演劇と映画を通じて演技をたくさんやってきたが、この作品は妙な気分だった。どのように演じるかの悩みも大きかった。物語の展開過程で外見もそうだし、一人の人物を思い浮かべるしかない。欲望と力、権力を象徴する人物だ。この映画ならではの魅力を見つけるために孤軍奮闘した。私は綱渡りをするイメージに集中した」と説明した。

ユ・ジェミョン(中央)
ユ・ジェミョン(中央)

韓国の歴史を振り返るほど大きな事件に加担した人物であり、韓国政治史に欠かせない事件を扱うという点で、映画を眺める視線は厳しいかもしれない。俳優も監督も負担と悩みがかなり作用するしかない作品だ。

チュ監督は「負担は大きかった。そのため、できる限り記録に忠実であろうとした。片方に偏らず、中心を取ろうとした。その時代は絶対に幸せではないが、幸福の国になってほしいという願いが大きかった時代という意味で、このタイトルをつけた」と伝えた。

イ・ソンギュンさんの遺作である映画『幸福の国』は、来る8月14日に韓国で公開される予定だ。

◇イ・ソンギュンさん プロフィール

1975年3月2日生まれ。2001年、MBCのシチュエーションコメディ『恋人たち』(原題)でデビュー。2007年のドラマ『白い巨塔』韓国版で正義感の強い“チェ・ドンヨン(日本の里見脩二)役”を演じてブレイクし、『コーヒープリンス1号店』『パスタ~恋が出来るまで~』『ゴールデンタイム』『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』と数多くの人気ドラマに出演した。映画『僕の妻のすべて』『最後まで行く』『パラサイト 半地下の家族』などでも高い演技力を発揮。プライベートでは2009年5月に女優チョン・ヘジンと結婚しており、同年11月に長男が、2011年8月に次男が産まれている。2023年12月27日、48歳でこの世を去った。

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