“稀代の悪女”の系譜は続く…韓国ドラマを盛り上げ主人公よりも記憶に残る悪女を演じた女優たち

2023年01月24日 話題 #韓国ドラマ

2014年のドラマ『私はチャン・ボリ!』(MBC)で、女優イ・ユリが演じた“ヨン・ミンジョン”は、未だに話題になる「悪女演技」のラスボスだ。

あらゆる悪事を犯す毒々しい人物で、自分の出世のために実の娘まで捨てるなど、手段と方法を選ばず、視聴者から多くの非難(称賛?)を受けた。

女優イ・ユリ

そんな悪女を演じたイ・ユリは、とあるバラエティ番組に出演し、「全52話の間、ヨン・ミンジョンとして出演して悪いことを本当にたくさんした。一度も真実を話したことがない」と言って笑いを誘った。

また『OSEN』とのインタビューでは、「台本を見ると皮肉、あざ笑う、つまらない、脅迫などが(感情を表す)台本の文章に多数書かれている。これをいろいろな方向で研究する」とし、「もし脅迫ならば、1番・脅迫、2番・脅迫、3番・脅迫といった感じに」と説明した。悪女のキャラクターを作るために、多くの努力をしたわけだ。

当時『私はチャン・ボリ!』は、イ・ユリの悪女キャラクターの熱演でなんと37.3%(ニールセンコリア、全国放送世帯基準)の視聴率を記録した。

“国民的な悪女”という評価を受けたほどの見事な悪女演技を披露したイ・ユリは、同年の「MBC演技大賞」で大賞を受賞。イ・ユリはその後もしっかりとした演技力を土台に、たゆまぬ努力で引き続き変わったキャラクターを見せている。

『ペントハウス』のキム・ソヨン

2021年に放送されたドラマ『ペントハウス』(SBS)のチョンア財団理事長である“チョン・ソジン”は、まさに極悪非道な悪行を繰り返す衝撃を披露した。

(写真提供=SBS)『ペントハウス』で“チョン・ソジン”を演じる女優キム・ソヨン

演じた女優キム・ソヨンは、ドラマ『イヴのすべて』以来、約20年ぶりに悪役に挑戦。鋭いカリスマ性を表わす目つき、体を顧みない狂気に満ちた熱演で悪女シンドロームを呼び起こした。

特にチョン・ソジンは、証拠隠滅のためにUSIMチップまで噛んで食べる姿を見せ、見る者の鳥肌を立たせた。長らく演技力を積み重ねてきたキム・ソヨンにとって、「人生キャラクター」と呼ぶに値する。

キャラクターを完成させるために演技、ファッション、ビジュアルのすべての部分で隙間のない努力を輝かせ、多彩な見どころを披露したキム・ソヨンは、第57回百想(ペクサン)芸術大賞でテレビ部門女子最優秀賞の栄誉に輝いたりもした。

女優人生で悪役を演じたのはチョン・ソジンが2回目だったキム・ソヨンだが、多くの人が「悪役をたくさんしたのではないか」と尋ねてくるという。それだけキム・ソヨンの演技力が高いというエピソードだろう。

最もギャップがあるのは、キム・ソヨンは普段、チョン・ソジンとは180度違う人物だという点だ。多くの人が口をそろえて彼女の善良な性格について伝えたことがある。

『ザ・グローリー』のイム・ジヨン

2023年を年始から盛り上げた悪女は、断然で“パク・ヨンジン”だ。

(写真提供=Netflix)『ザ・グローリー』で“パク・ヨンジン”を演じる女優イム・ジヨン

Netflixオリジナルシリーズ『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』が話題作となり、パク・ヨンジンは前述した2人のキャラクターとは異なる校内暴力の主導者として全世界の視聴者から注目を集めた。

パク・ヨンジンは学生時代から主人公に校内暴力を加え、主導する人物だ。裕福な家庭に生まれ、好きなように生き、気兼ねなく暴力を振るう。処罰を受けることも、暴力の記録が残ることもないため、被害者を悪辣なほどひどく苦しめ、見る者に怒りと悲しみを誘う。

しかし被害者の血のような復讐と向き合い、次第に理性を失って暴走する。それでも反省が見られない同情心をまったく誘わない悪女で、酷いキャラクターだ。

(写真提供=Netflix)『ザ・グローリー』で“パク・ヨンジン”を演じる女優イム・ジヨン

そんなパク・ヨンジンを演じた女優イム・ジヨンは、自分の名前を一気に知らせたデビュー作、映画『情愛中毒』の強烈さ以上の印象を与えて女優として再発見された。彼女はこれまで見せたことのない表情で台詞の一言一言、身振りから小さな笑みまで鳥肌が立つほど悪辣で憎らしい悪役を見事に消化した。

イム・ジヨンのフィルモグラフィーで断然の代表作に挙げられ、「人生キャラクター」と深く刻まれることは間違いない。

『ザ・グローリー』のシン・イェウン

『ザ・グローリー』のイム・ジヨンと同時に再注目された女優は、パク・ヨンジンの学生時代を演じた女優シン・イェウンだ。シン・イェウンはパク・ヨンジンの学生時代を演じ、物語序盤の没入感を十分に与えた。

(写真提供=Netflix)『ザ・グローリー』で“パク・ヨンジン”の学生時代を演じる女優シン・イェウン

劇中、シン・イェウンはイム・ジヨンよりも直接的にパク・ヨンジンの悪行を表現した。被害者の腕にヘアアイロンで一生消すことのできない傷跡を残す恐ろしいシーンなどだ。

富と美貌を持って生まれたが、他人に対する配慮と共感能力がないパク・ヨンジンは、シン・イェウンの明るくて愛らしい顔のなかに生々しく誕生した。2018年のウェブドラマ『A-TEEN』以降、清純女神、斬新な芸能キャラクターとして愛されたシン・イェウンが、これまで見せてきた演技とは全面的に違った。

この間、様々な作品に出演して低視聴率に苦しんできたシン・イェウンは、とあるインタビューを通じて「私がすべて間違っていたようだ。結果が良くなければ自責することになり、苦しい」とし、「自分だけに被害があるのであれば構わないが、皆がこのような結果を受けると、“私のせいか?”と考えるようになって苦しい。ただもっとうまくやりたい」と涙を流したこともあった。

『ザ・グローリー』は、そんな苦悩の時間を経験したシン・イェウンの真価が発揮された作品でもある。デビュー後、ずっとドラマの主演だけをしてきたシン・イェウンが、出演量を離れ、キャラクターに集中して得た貴重な結果ともいえる。

パク・ヨンジンは歳月が流れて年を取ったが、シン・イェウンが扮した学生時代の彼女の姿は今も記憶から離れない。

いずれにしても素晴らしい悪女が登場するドラマは、大きな注目を集める。今後もどんな女優が想像を超える悪女キャラクターを誕生させるのか、注目したい。

(記事提供=OSEN)

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