「29禁だ」と話題のNetflixドラマについて、有名作品を手掛けた監督が語る覚悟と考え【インタビュー】

2022年11月29日 テレビ #Netflix #韓国ドラマ

映画『ハッピーエンド』を通じて人間の愛憎や執着心を、『ウンギョ 青い蜜』を通じて老人の葛藤を描いたチョン・ジウ監督が、再び話題になりうる作品に挑戦した。

【写真】殺人鬼キム・ヨングァンの“過去”

11月18日に公開されたNetflixオリジナルドラマ『サムバディ』は、出会い系アプリを素材にした連続殺人鬼と被害者の奇怪なラブストーリーを描いた作品だ。チョン監督の初ドラマでもある。

監督は「映画を撮っていると、いつも話したいことを全て言えなかったりした。ドラマのように、キャラクターの関係性を細かく扱ってみたかったのでドラマに挑戦した」と明らかにした。

「露出は僕の表現方法の1つ」

『サムバディ』は、3人のヒロインと1人の男性主人公で構成されている。アスペルガー症候群で他人の心に共感できない女子高生キム・ソム(演者カン・ヘリム)は、出会い系アプリのサムバディを作り大きな成功を収める。

しかし、このアプリを利用した殺人事件が連続的に続いたことで、殺害犯の追跡を始める。

一方、ソムの友人でサイバー捜査隊警察のヨン・ギウン(演者キム・スヨン)は、サムバディで出会ったソン・ユノ(演者キム・ヨングァン)に殺されそうになったが、無事に助かる。性的少数者で巫女の友人イム・モグォン(演者キム・ヨンジ)とともに、ユノの足跡を追う。

4人の関係性が分かりにくいという点でも、監督の前作『ウンギョ 青い蜜』に近い。

(写真=Netflix)『サムバディ』

連続殺害犯というユノの正体を知りながらも、唯一自分を理解してくれるという理由で彼に惹かれていくソム。被害者になるところだったが、ユノに夢中になっていくギウンについて監督は「周りからは悪い人だと言われても、小さな希望のためにその人に対する期待を手放せなかったという経験が、誰にでもあるのではないか。そのような関係性と、他人と繋がりたい欲望を持つ人を描き出したかった」と説明した。

作品ごとにレベルの高い露出シーンを映してきた監督。今作『サムバディ』でも例外なく濃厚なベッドシーンで見る人の視線を集めた。一部からは「29禁だ」という指摘までされた。しかし監督は「ただの露出と考えると、編集から外してしまう場合も多い。だが露出というものは家で1人でいる時にする行動、想像、欲望の表現方法の1つだ」と考えを話した。

(写真=Netflix)チョン・ジウ監督

主に、ロマンスストーリーの主演を務めてきた俳優キム・ヨングァンを、残酷な連続殺人犯としてキャスティングしたのも異例のことだ。彼は『サムバディ』を通じて「既存の温かいイメージを覆した」という好評を受けている。監督は「非現実レベルなイケメンが、日常の些細なことも演じられて好印象だった。撮影中ずっとキム・ヨングァンを愛する気持ちで撮った」と愛情を示した。

『サムバディ』に先立って公開されたNetflixオリジナルシリーズ『スリナム』のユン・ジョンビン監督は、撮影の忙しさから胃潰瘍を患い「二度とドラマには挑戦しない」と言ったが、『サムバディ』のチョン監督は次のドラマ制作に意欲を示した。「話したいことが話せる機会があればプラットフォームを選ばずに熱心に挑む」とした。

「今のように映画市場が厳しい環境で、『ハッピーエンド』や『ウンギョ 青い蜜』を再び作れば、ただのエロ映画という認識で広がりそうだ。じっくり考えてみる。価値のある作品を劇場で見ることは容易ではない世の中だ」とも伝えた。

「チョン・ジウ監督の作品だから出演を決めた」

『サムバディ』で連続殺人鬼ユノを演じた俳優キム・ヨングァンは、ドラマ出演のきっかけをこのように明らかにした。「以前から幅広いジャンルに挑戦したいという気持ちが大きかった。『サムバディ』を通じて新しい魅力を与えることができて良かった。どんな作品よりも楽しい気持ちで撮影に臨んだ」と話した。

(写真=Netflix)キム・ヨングァン

たいてい連続殺人鬼の役割を引き受けた俳優たちは、トラウマに苦しむ場合が多いが、キム・ヨングァンには役割の重さより役作りに対する渇望がはるかに大きかったそうだ。「ドラマ公開後、作品を2回見たら人物間の関係性と奇怪なロマンスが、はるかによく見えるようになる。必ず2回以上見てほしい」と頼んだりも。

ユノ役のために体を大きくしたキム・ヨングァン。約20キロも減量したそうだ。「最初はユノのイメージが、体の大きな男だろうと思って82Kgから94Kgまで増量した。でも連続殺人犯なら、鋭いイメージを与えなければならないと思い、最終的には72Kgまで減量した」と話した。

(写真=Netflix)キム・ヨングァン

1日1食、少量のサツマイモだけを食べたり、絶食するなど、血のにじむような努力を続けたそうだ。これまでキム・ヨングァンが出演してきたドラマでは、温かい魅力の彼氏のようなイメージだった彼が、今回の『サムバディ』では、怖い人に見せるために必死に研究したそうだ。

チョン・ジウ監督の作品特有ベッドシーンも、キム・ヨングァンにとっては出演を断念する問題ではなかった。キム・ヨングァンは「ベッドシーンは作品の中に溶け込んでいる部分なので、特に負担には思わなかった」とした。

「作品を通じて、“新しい連続殺人犯”という評価を受けたい。今後もさまざまなジャンルに挑戦したい」と伝えた。

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