韓国芸能界を一時、牛耳っていた中国市場が“限韓令”で堅く閉ざされた扉を6年ぶりに開くのか、注目が集まっている。
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一部では韓国の優秀なコンテンツとスターを先取りする動きが見えているが、大多数の韓国芸能事務所は「まだ慎重でなければならない」と口をそろえた。
限韓令の“解除論”は、去る11月15日にユン・ソギョル(尹錫悦)韓国大統領と中国の習近平国家主席がインドネシア・バリで初の首脳会談を行ったことで提起された。この日、習主席がユン大統領に「両国間の人文交流の協力を強化しよう」と提案し、11月20日には中国を代表するOTT(動画配信サービス)「Tencent Video」に、韓国のホン・サンス監督の映画『川沿いのホテル』(2018年)が配信され、いよいよ限韓令が解除されるのではないかとの分析があふれた。
これは2021年12月にナ・ムニ主演の映画『オー!ムニ』(2020年)が中国本土で公開されて以来、11カ月ぶりに正式に中国で披露された韓国映画だ。
一部の素早いエージェントは中国およびアジア地域で人気の高い俳優や歌手が所属する芸能事務所に、「韓国アーティストの中国内の公演を許容する措置が順次になされそうだ」とし、スケジュールの問い合わせに出たりもした。
限韓令前に中国で人気が高かった俳優が所属する芸能事務所の高位関係者は、「限韓令が解除される可能性があるという報道が出た直後、エージェントたちにアーティストのスケジュールを問い合わせる電話が来ている」と話した。
しかし韓国芸能界は「シャンパンを早く開ける必要はない」とし、「慎重でなければならない」という立場が大多数だ。
ある芸能界関係者は、「中国は限韓令ですでにリスクのある市場ということを自ら立証した」とし、「政界の動きとは異なり、芸能界が簡単に動くことはないだろう」と展望した。この関係者は「コンテンツ産業だけでなく流通、家電などすべての消費財企業が中国市場の不確実性を確認しただけに、突然“中国への偏り現象”が起きることはないと見る」と付け加えた。
中国政府が韓国の高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の配置を問題視して限韓令を出した間、パンデミックとOTTの発達、K-POPの世界的な人気でKコンテンツが既存のアジア市場から北米市場に広がったことも、中国市場への期待が弱まった理由のひとつだ。弱り目にたたり目で、中国文化に対する若年層の反感も大きくなり、“チャイナマネー”がただうれしいだけではない時代に入ったという分析もある。
また別の関係者は、「東北工程(中国の歴史研究プロジェクトで、古代朝鮮半島国家を中国史の一部に位置付けている)議論で打ち切りとなって廃止したドラマ『朝鮮駆魔師』や、中国ブランドのPPL(間接広告)で議論を巻き起こしたドラマ『女神降臨』や『ヴィンチェンツォ』のように、Kコンテンツの主な消費層である20代、30代の中国への反感が大きくなり、チャイナマネーを以前のようにむやみに誘致することは遠のいているように見える」と推測した。
K-POP企画会社の立場からも中国市場よりは、成長可能性の高い北米や南米、中東地域の開拓を狙う会社が少なくない。すでにEXO、NCT、宇宙少女、EVERGLOWなど韓国でトレーニングを受けた中国人メンバーたちの“離脱”によって、企画会社の損害が尋常ではなかったからだ。
とある芸能事務所関係者は、「中国人メンバーを排除するわけではないが、多国籍メンバーを構成するとき、タイなど東南アジア地域のメンバーが頭角を現しているのも事実」と耳打ちした。
韓国屈指のエンターテインメント会社であるSMエンターテインメントの場合、サウジアラビアとMOUを結び、ポッププロデューシングと現地アーティストの発掘・育成、メタバースプラットフォーム構築など、中東市場開拓に積極的に乗り出している。SMエンタはSUPER JUNIORのハンギョンからf(x)のビクトリア、EXOのルハン、クリスなど、多くの中国人メンバーを育成したが、彼らは全員本土に帰った。
中国専門エージェンシーであるレディチャイナのペ・ギョンリョル代表は、「中国内でもKコンテンツを羨望する若年層は多いが、中国政府が直ちに門戸を開放することは容易ではないだろう。現在、公式に披露されている『オー!ムニ』や『川沿いのホテル』のように、Kコンテンツの象徴性が弱い作品だけを流通・開放させていることを見るだけでも、それがわかる」とし、「直ちに韓国芸能人の中華圏進出を議論するのは時期尚早だ」と伝えた。
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