「これなら、誰だって転売するだろう」
生ぬるいどころではない。数千万円の利益を得ても、科される罰金はせいぜい約20万ウォン(約2万円)前後。実に100倍近い利益を出せる計算だ。
歌手G-DRAGONのコンサートのチケットを転売して摘発された一行に科された罰金は、たった20万ウォンに過ぎなかった。あまりにも低すぎる罰金が、転売を助長しているのではないかという懸念が出るのも無理はない。
12月15日、警察の発表を総合すると、ソウル九老(クロ)警察署は12月14日13時ごろ、高尺(コチョク)スカイドーム周辺でG-DRAGONのコンサートチケットの転売取引を試みた6人を、軽犯罪処罰法違反の疑いで検挙した。
彼らはオンライン上で事前に取引場所を決め、コンサート会場付近で落ち合って転売を行おうとしていたことが確認された。検挙された6人のうち4人は中国籍で、ほとんどが20代とされている。
警察はこのうち、出国が差し迫っていた1人に対し、過料16万ウォン(約1万6000円)を科した。残る5人については即決裁判に付した。即決裁判とは、20万ウォン以下の罰金などに該当する軽微な犯罪事件について、通常の刑事手続きを経ず、警察署長の請求に基づいて裁判官が行う簡易裁判のことだ。
仮に約200枚の転売チケットを計500万ウォン(約50万円)で仕入れて販売したとすれば、約1億ウォン(約1000万円)の利益が残る計算だ。罰金の総額が100万ウォン(約10万円)程度であれば、あまりにも割の良い商売といえる。
中古取引プラットフォームでは、G-DRAGONの約22万ウォン(約2万2000円)相当のVIP席が680万ウォン(約68万円)で取引された。およそ31倍に当たる金額だ。
ボーイズグループNCT WISHは19万ウォン(約1万9000円)の座席が800万ウォン(約80万円)、SEVENTEENは11万ウォン(約1万1000円)の座席が680万ウォンまで跳ね上がった。国内トップクラスの歌手たちの公演を巡り、転売問題が横行し、業界全体が頭を抱えている状況だ。
昨年11月、文化体育観光部によると、プロスポーツのオンライン転売が疑われる事例は、2020年の6237件から、2024年には18万4933件、2025年8月時点では25万9334件へと増加した。5年で41倍以上に膨れ上がった計算だ。
K-POPへの関心が高まる一方で、その濃い影もまた広がっている。マクロ(macro=自動化プログラム)を開発する違法業者の技術力に追いつけない、というのが業界関係者の嘆きだ。
ある公演関係者は「転売は今に始まった問題ではない。担当機関が明確な処罰の意思を持って動かなければならない。取り締まりや報奨金だけでは限界がある。公式リセールの仕組みを整備し、プラットフォームの責任を強化して、課徴金を引き上げるべきだ」と語った。
■突然の中止でK-POPコンサートに広がる不信感 「売れ行き次第で開催可否を判断」の声まで
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