世界が熱狂するK-POPとされているが、その熱気の裏側でコンサート現場はもちろん、ファンミーティング市場でも不安定な兆しが見え始めている。
ファンはチケットの予約や参加をためらい、企画会社はスケジュール調整に追われる状況だ。
最近では、コンサートの中止に加え、ファンミーティングのスケジュールまで突如キャンセルされるケースが相次ぎ、業界全体の信頼構造が揺らいでいるとの分析も出ている。
表向きの理由としては「猛暑」「技術的な問題」「体調悪化」などが挙げられているが、その背後には、収益構造の不透明さ、無理なスケジュールの拡大、不確かな需要予測といった構造的な問題が横たわっている。
一部のトップアーティストによるワールドツアーは、いまだ全席完売を記録し、「K-POPの威力」を証明している。しかし、それと同時に一部の公演では、頻繁なスケジュール変更や突然の中止といった事例も増えており、現実は楽観できない。
公演が一度でも中止されると、ファンの失望はもちろん、企画会社やアーティストのブランドにも影響を及ぼす。「チケットを予約しても本当に開催されるのか不安だ」といったファンの声が上がる背景だ。
7月11日には、G-DRAGONのタイ・バンコク公演が突如中止された。所属事務所は「記録的な猛暑により、ファンの健康と安全を最優先に考えた措置」と説明したが、現地の気候への慣れを考慮すると、納得しにくいという反応もあった。
D-LITEのオーストラリア・メルボルン公演は「技術的な理由」で中止され、BoAも健康上の理由で8月に予定されていた単独コンサートを取りやめた。理由は様々だが、キャンセルの連続により、ファンの頭に浮かぶのは「期待」よりも「不安」になってしまっている。
一部の公演関係者や現地プロモーターの間では、「強行開催するより、損失を最小限に抑えるために中止したほうが良い」という認識が密かに広がりつつある。
近年、K-POPアーティストの海外公演におけるギャランティは、天井知らずに高騰している。そのため現地のプロモーターは収益を合わせるために2万席以上の大型会場を借り、チケット価格も高く設定する。だが需要予測が外れた場合、観客が半分も埋まらず、大きな損失を被ることになる。
このような状況のなか、一部では、水面下でチケットの売れ行きを見ながら公演実施の可否を決めるという、非公式な動きが生まれているのではないかという懸念も広がっている。ただし、これは公式な契約構造や報道で確認された事実ではない。
最近では、中国や香港などの投資家が、韓国アーティストの公演誘致を名目に契約を結んだものの、実際には投資金が支払われず、公演が頓挫するケースも相次いでいる。
一部の現地ブローカーは、韓国アーティストとの契約書だけを手に入れ、それを現地で別の投資誘致や事業目的に利用し、実際には公演を行わないという例もある。これにより、韓国の企画会社やアーティストは、スケジュール損失、機会損失、そしてファンからの信頼低下という“三重苦”を負うことになる。
K-POPは、韓国を代表する文化コンテンツだ。しかし舞台裏のシステムが崩れれば、ブランドの信頼性も揺らいでしまう。
コンサートは単なるイベントではなく、ファンとの約束でもある。準備不足の発表、繰り返されるスケジュール変更、不透明な進行体制は、やがてK-POP市場全体への不信へとつながりかねない。
いまこそ、アーティストの出演料を市場の需要や現実に即して調整し、責任ある契約と綿密な事前検討、そしてファンとのコミュニケーションを土台にした公演運営が求められている。これらの支えがなければ、熱狂は一瞬にして失望へと変わりかねない。
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